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【第漆話】 横浜:探偵社:探偵社事務所 ページ13

医務室の扉が閉じた後、探偵社内には沈黙が流れた。

敦の電話から起きた騒動から、一息。

瀕死の一歩手前だった少女は与謝野に任された。
……与謝野ならば確実に少女を助ける事が出来る。

成り行きを見守って居た探偵社に務める事務員達は、各々の仕事を再開して居る。
然し、社員の皆が見慣れぬ姿の客人を如何対応すれば良いか判らなかった。

探偵社に案内した敦も、二人に何て声を掛ければ良いか判らなかった。

(……与謝野さんに任せたから、一安心だけど)

社の非常口の近く、壁際に立って居た敦は一人思った。

(女の人の護衛なのかな……あの二人。えぇと、如何しよう。
声を掛けた方が良いかな?でも、何て声を掛ければ良いんだろう?)

敦はじっ……と、路地裏で会った二人を見た。

(随分と綺麗だなぁ……)

じぃー と観察する迄も無く、二人は美形だった。

同性だけど思わず見蕩れる程だな…と敦は思う。
傷だらけでも、ボロボロでも、彼等は息を呑む美しさがある。

探偵社に勤める調査員達の顔面偏差値は結構高い。
(と、前に女性社員達が話して居るのを耳に挟んだ)

然し二人は何処か『人成らずもの』の美しさがある。自分達(人間)とは、何かが違う。

……そう、無意識に思ってしまう。

(……なーんて?)

惹き付けられる感じの、雰囲気。でも、鋭そうで触れられない。

ぐるりと周りを見れば、事務員の何人かが二人に視線を向けて居るのに気が付いた。
そこには少し、熱を帯びた様な視線が混ざってる。

(………)

何とも云えない気持ちが、ぶすぶすと燻る。
脳がぼんやりと考える事を止めて、うっすらと霧が掛る様な感覚。

(……彼等を…)

そう、ぼんやりと思った時、ふと視界の先に小さな血溜まりが見えた。

紅く、乾いてない血を脳が認識した瞬間、目が醒めた様に頭の中がスッキリする。

(あ、あれ?僕は何を考えてたんだっけ??)

何か、とっても変な事を思って居た気がする。

(……そうだ、あの人達を観察してたんだ)

ふるるっと頭を振り、目をぱちぱち、瞬きさせた。

(うぅん……あ、血を拭かなきゃ)

粗方事務員達によって拭かれた、少女のだと思われる血液を敦はサッと拭いた。
他人の血でも少しの量なら敦でも大丈夫だ。(夥しい量は勘弁だが)

拭き終わった後、敦はもう一度観察を始めた。

__今度は、二人の美しさに目を奪われなかった。

【第捌話】横浜:探偵社:探偵社内→←潮風の過ぎる地で



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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