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勘だね ページ2




Aが目を見開いた。
しまった、始まってしまう。
瞳に焦りを滲ませた彼女がイッペーくんの独房のドアを開き、隣の独房に駆け込んだ。


「チシヤも、早く入って!」


時間なんてないのに俺が起き上がって真隣の独房に入る様子をしっかり見届けるA。
入ると同時に鳴り響いた施錠音、そこで自分の失態に気がついた。

マークを教えていない。

初めて、体の底が冷える感覚がして鋭い声を出す。


「…A!」

「何…?」


強ばった声が聞こえた。
Aは自分のマークを知らないはずだ、俺が教えていない。
彼女の首元に書かれたマークを思い出そうとするも、どちらにせよミディアムの髪の毛に邪魔されて見えなかっただろうな、と冷静な部分で思う。


「…チシヤ」


焦る自分に柔らかな声が聞こえる。
カウントダウンが始まった。


「大丈夫。私なら大丈夫だから、自分のことだけ考えて。」


スゥ、と頭の底が冷える感覚がする。
彼女にこんなことを言わせたんだ、生きて帰らないとね。
分かった。
そう返すと、彼女の声は聞こえなくなった。
マツシタが言った答えはきっと嘘、コトコも俺の問いかけにはスルー。
てことは、ダイヤかスペードか。
難しいな、絞れたのはここまでだ。
腕を組みながらいつもの調子が戻ってきたことにほくそ笑む。


「うーん…最後は……、勘だね。」


ここまで振り回してくれたんだ、最後のフィナーレくらいは生きて観覧させて貰わないと。
微笑みながら自分のマークを口にする。
どこかで、爆発音が1つ鳴り響いた。

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みりん(プロフ) - ゆめさん» ゆめさんありがとうございます!長ったらしい小説家とは思いますが、ここまで読み進めていただいたことマキタにありがとうございます!ꈍ .̮ ꈍ メッセージの方でパスワードを送らせて頂きますね! (2023年4月13日 20時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 初めまして!みりんさんの作品全て読まさせて頂きました! どれもとても素敵な作品で、出会えた嬉しさでいっぱいです! これからも陰ながらですが、応援させて 頂きます!お時間のある時に0の方のパスワードを 教えていただけると幸いです! (2023年4月13日 16時) (レス) id: 23764cc589 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はるさん» はるさん、嬉しいお言葉ありがとうございます…!(*ᴗˬᴗ) EP0のパスワードの方、メッセージにて送らせて頂きますね! (2023年4月12日 1時) (レス) @page42 id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - はじめまして!素敵な作品を拝見させていただきありがとうございます!文章力が素晴らしくて凄く感情移入しました( ꈍᴗꈍ) 宜しければEP0の方も拝見させて頂きたいです!お時間ある時によろしくお願いします! (2023年4月11日 18時) (レス) @page40 id: 18e6227b50 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - ありがとうございます!︎おふたりとも、メッセージの方にてパスワードを送らせて頂きますね!ここまで読んでくださり嬉しい限りです(^_^*) (2023年4月9日 22時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月21日 2時

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