ごめんなさい ページ3
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your side
ツツ、と窓ガラスを指でなぞる。
高校の寒い冬、曇ったガラスに文字を書く事が好きだった。
浮かび上がって書いた文字は、直ぐに結露して消えてしまうから。
何を書いても無かったことに出来る気がして、思わず担任のあだ名を書いたら残ってしまい、犯人探しになったのは最悪な思い出だ。
《もうすぐ、このビーチから出るのか》
くだらないことを考えていても、思い出してしまう。
アリスの言った言葉。
彼の言った通りなら、もうここにチシヤはいないかもしれない。
私がチシヤなら混乱している今、カードを奪うから。
ふと、黒いテレビが「ブゥン…」と起動する。
ICチップは使えないんだよ、とボヤくアリスを思い出した。
てっきりここにあるテレビもお飾りのためかと思っていたけど、付くんだな。
ぼんやりした頭でそんなことを思っている時だった。
「ホテルシーサイドパラダイス東京をご利用頂き、誠にありがとうございます」
「…え？」
忌々しい無機質な音声が聞こえてきてサッと顔を青くした。
「日頃のご愛顧に感謝を込めて、当ホテルにご宿泊の皆様全員によるゲームを開始します」
…ゲーム。
待って、そんなの無理。
テレビに映る、恐ろしいほど真っ白な画面には
「GAMEを開始します」と書かれていて。
ハッとして、自室の窓から外を見るけれど誰もいない。
きっとみんなどこかに集まっているのかも。
ここにいるのが私一人だけかもしれないという有り得ない孤独感に苛まれて、下唇を強く噛んだ。
ゲーム会場がこの中だとして、直ぐにエントリーしなけれは殺されてしまう。
動け、動け。
脳はそう体に伝えるのに。
体がどうしても動かない。
なんでここでゲームが開催されるの？
これに勝って、どうなるの？
チシヤはもう、逃げ出しているのに…？
沢山の疑問が頭の中に浮かんでいき、浮きかけた腰を降ろした。
ここのベッドはフカフカでよく寝れる。
ぐっすり眠っていたら、きっとゲームオーバーになって死ねるはず。
ごめんなさい。
もうこれ以上人が死ぬところを見なくて済むのに、ゲームに行かない選択肢をしたのは私なのに、何かがどうしようもなく悲しくてずっと心の中で謝罪をする。
何も出来なくてごめんなさい。
命を諦めてごめんなさい。
…お母さん、ごめんなさい。
「…ごめんなさい」
耐えきれなくなった謝罪が唇からひとつ、こぼれ落ちる。
腕で顔を覆って感情の起伏をやり過ごしていると、ずっと聞きたかった低いテノールが聞こえるはずのないここで聞こえた。
「なにか悪いことしちゃった？」
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みりん(プロフ) - はーとさん» ありがとうございます…！チシヤサイドは完全に自分の妄想だけで書いているので、そう言っていただけるととても助かります…！߹ᯅ߹ (2023年1月28日 9時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - 1話から読ませて頂いていました！ついに完結！お疲れ様です(*^^*)2も読ませて頂きます！二次創作は解釈不一致なところが多いんですけど、このお話はそういうのが一切なくて、読みやすくて、丁寧で、チシヤの( -`ω-)bポイントが本家＋で最高でした！ (2023年1月27日 17時) (レス) @page26 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» 嬉しいです߹ㅁ߹)♡ 所々、これは面白いのかな？と不安な描写があったりしたので、そう言って頂けると次の執筆の活力になります…！(˶･o･˶) (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - るーさん» ありがとうございます…！次のシーズンでは、主人公ちゃんの事を連れ出した“あの人”と深く関わるので是非楽しみにしていてください！(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 翡翠さん» 翡翠さん！ありがとうございます(⚲□⚲) シーズン2 では、もっと多くのぷれいやぁと絡ませていきたいな、と思っているので期待していただけたら…！笑 (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月25日 4時
