可哀想？ ページ2
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「なーんか…可哀想じゃない？アリス」
物思いに耽っていると、いつの間にか門の前にいたクイナが禁煙パイポを咥えながら言う。
最近は飴をガリガリ噛んでたのに、味気なくてこれに変えたんだそう。
仲間に入れた初期の頃、全くもって喫煙も禁煙も興味が湧かない自分に力説していたクイナ。
最も、自分が何に対しても興味が湧かない事を悟ったクイナはそれからその話をしなくなったけれど。
そのクイナが冷たい目を向けて俺に言った。
「可哀想？」
「うん、めっちゃ可哀想」
…甘いなぁ、クイナは。
「生き残るためにしちゃいけない事なんてあるの？」
ハッ、とした顔をしてこっちを見つめる。
大方お母さんでも思い出したんだろう。
母親に会うためにこの国を出たいと言っていた彼女。
だからこそ、この計画に引き入れたんだから。
彼女が強く思う「出たい」という思いはメリットだと思ったのに。
「そんなに心配ならクイナが助けに行けば？」と言うと、それは出来ないと一瞬思ったんだろう。
気まずそうに顔を逸らした。
…つくづく、アリスくんも人を変える天才だね。
「…Aはどうすんの」
「…A？」
咥えたパイポを手に持ちながら、剣呑な目で「連れていかへんの？」と言う。
「計画に入れてないんだから連れていく利点が無いでしょ、」とは、何故かどうしてもいえなかった。
きっと、クイナが彼女を気に入っていて、これを言ったら怒るから。
そう自分に言い訳をして。
その言葉を無視して再度歩き出そうとすると、ブゥン…と不穏な音が鳴る。
生きるために何度も何度も耳にしてきたその音に思わず立ち止まる。
呆れた顔をしたクイナが何も気づかず越えようとする姿に、思わず焦った声が出た。
「出るな！」
びっくりしたクイナを制して、「違っていてくれ」と願いながらリストバンドを投げ入れる。
もう用済みだと思っていたそれの唯一の使い道。
願いも虚しく、投げ入れた青いソレがレーザー銃で撃ち抜かれた。
信じられないというように「マジか…」と呟いたクイナに同調するように、後ろを振り返った。
二度と入らないと思いながら進んできた道を後戻りすることになる。
結構まずいことになったねぇ、と心の中で呟きながら、無意識のうちにAの滞在している部屋を仰ぎ見る。
…次、彼女の顔を見たら…。
もう会わないと思っていた彼女の顔を見たら、何かが変わってしまうかもしれない。
「らしくないなぁ」
思わず独り言を漏らした自分の顔を、不思議そうに見つめるクイナの視線を肌で感じた。
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みりん(プロフ) - はーとさん» ありがとうございます…！チシヤサイドは完全に自分の妄想だけで書いているので、そう言っていただけるととても助かります…！߹ᯅ߹ (2023年1月28日 9時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - 1話から読ませて頂いていました！ついに完結！お疲れ様です(*^^*)2も読ませて頂きます！二次創作は解釈不一致なところが多いんですけど、このお話はそういうのが一切なくて、読みやすくて、丁寧で、チシヤの( -`ω-)bポイントが本家＋で最高でした！ (2023年1月27日 17時) (レス) @page26 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» 嬉しいです߹ㅁ߹)♡ 所々、これは面白いのかな？と不安な描写があったりしたので、そう言って頂けると次の執筆の活力になります…！(˶･o･˶) (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - るーさん» ありがとうございます…！次のシーズンでは、主人公ちゃんの事を連れ出した“あの人”と深く関わるので是非楽しみにしていてください！(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 翡翠さん» 翡翠さん！ありがとうございます(⚲□⚲) シーズン2 では、もっと多くのぷれいやぁと絡ませていきたいな、と思っているので期待していただけたら…！笑 (2023年1月27日 12時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月25日 4時
