竜の国 ページ10
翌朝。
目が覚めると、枕元に一着の服があった。
男物の、少し小さめの服。
リンデルのものだろうか。
きっと貸してくれたんだろう。
「………うわー、ブカブカ」
パーカーの丈は膝上まであり、裾は指が隠れるまである。
ズボンはベルトがなげればずり落ちてしまう。
普段リンデルが着ているのだろう。
少し服が伸びていた。
初めて洞窟の外に出てみる。
広がる光景に目を見開いた。
「わ…………」
広がる緑、駆け回る子供の竜。
空一面の青空に、透き通るような池。
ここが竜の国。
竜たちの最後の楽園。
「起きたか」
「リンデルさん、おはようございます」
彼は一頭の竜と、セルキーを連れていた。
竜は興味深かそうに私の匂いを嗅ぐ。
そして頭をすりよせた。
太陽の香りがする。
「珍しいのう。その竜は滅多に他人になつかんのだ」
「そうなんですか………可愛い」
『リンデル様、誰ですか？』
「わしが拾った子じゃ」
『ああ、嫌われもののロビンさんですか！エアリエルたちが騒いでいたのですよ』
嫌われもの、か。
セルキーに悪気はないらしい。
リンデルの使い魔だろうか。
「服、ありがとうございます」
「ちと大きいようだな」
しげしげと格好を眺めるリンデル。
その時、後ろから何かにつつかれた。
振り返ってみれば、子供の竜たちがいる。
『ねーねー、遊ぼ？』
『おねーちゃん遊ぼ！』
「え、ちょ、わ！」
角で早く早く、とせかされる。
リンデルをちらりとみれば。
「スレイ・ベガは竜にも好かれるようだな。ここにはわし以外の人間はおらん。遊び相手になってあげてくれ」
『やったー！』
そのまま服を引きずられ、竜たちに連行されていく。
え、竜と遊んだことなんてないんだけど。
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零斗(プロフ) - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月13日 14時) (
レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
有馬 - ものすごい面白いです！気長に更新待ってます！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: c318382072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年1月3日 11時
