刻印 ページ3
悪魔とはなんだろう。
新しい主の敷地の暗い庭。
ぼんやりとそう思いながら、檻の中に閉じ込められた。
鎖が外れることはなく、まるで家畜のよう。
「ほら、魔法とやらを見せてみろよ」
ガシャン、と檻が蹴られた。
その衝撃で後ろに転ぶ。
それを笑う声が聞こえた。
一人だけじゃない。
何人も屋敷から出てきて、私を見ていた。
魔法、か。
「なんだよ。高い金払ったのに魔法の一つも使えないのか！？」
怒鳴るな。
うるさい声は嫌いだ。
「ほら、やってみろよ！できない、のか………」
主の声が小さくなった。
パキっと鎖が音をたてる。
ほんのりと鎖が青白く光って、冷たくなっていった。
白い氷が広がっていく。
鎖に、檻に、その外の地面に。
パキンっ！！
氷が割れて、鎖が粉々に崩れ落ちた。
それを見て誰かが悲鳴をあげる。
「ば、化け物……………」
「魔法を使えないようにしろ！こんな獣を屋敷に置いておくな！」
私を買ったくせに。
すぐにそんなことを言い出す。
ひしゃげた檻が開いて、知らない人が入ってきた。
手にナイフを持って。
グッと手を引かれ、腕にナイフの刃を当てられた。
「………………」
肉が、抉られていく。
模様を彫られていく。
呪いだ。
刻印を刻むと魔法が使えなくなる。
滴り落ちる血。
悲鳴一つもあげない私を見て誰かが言った。
「悪魔……………」
刻印が彫り終わり、乱暴に投げ捨てられる。
血は止まらなかった。
痛くはない。
「こいつを捨てろ。森のなかで狼の餌にでもすればいい。こんな悪魔は飼いきれない」
私を見つめる主は怯えていた。
私が怖いのか。
抵抗しない私を森の中へ置き去りにする。
血の匂いに誘われて、獣がやって来るだろう。
試しに魔法を使おうとした。
「……………使えない」
腕が少しだけ痛んだだけだった。
それは私が感じた久しぶりの痛みだった。
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零斗(プロフ) - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月13日 14時) (
レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
有馬 - ものすごい面白いです！気長に更新待ってます！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: c318382072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年1月3日 11時
