光と闇sideチセ ページ1
冷たい鎖。
首が、手首が、締め付けられる。
嫌悪感はなかった。
ここは舞台の裏側。
"商品"が競り落とされる舞台裏。
オークションの出品物がずらりと並ばれている。
そのなかに私と同じ"人間"が。
「あら、スレイ・ベガなのね、お嬢さん」
その人は私に話しかけた。
スレイ・ベガ？
首をかしげると、その人は微かに笑う。
「知らないなら気にしないで。貴女は"光"だから。私の"闇"とは違う。きっと素晴らしい主が見つかるわ」
白い私の衣服とは反対に、夜のような真っ黒な衣服を着るその人は、
視線を奪われるほど美しかった。
黒いベールの向こう側で光る海のような瞳。
肌は透けるように白い。
「ほら、貴女の番よ」
彼女に言われてはっとする。
私が売られるときがついに来た。
けどたいして感情はなかった。
ただ、痛いのは嫌いだ。
ライトの光が一斉に私を照らす。
「500」
なんでもいい。
ただ帰れる場所が欲しい。
「決めた。君を僕の弟子にする」
"きっと素晴らしい主が見つかるわ"
スポットライに目が眩む。
この人が私の主…………。
じゃあ、あの人の主は？
そんな考えが頭を過った。
私には関係ない。
舞台から降りるとき、あの人とすれ違った。
「よかったね。貴女はきっと幸せになれる」
幸せになれる。
その言葉が心をかきみだした。
「幸せなんて、一度もなかった！」
はっと口を押さえるが、遅い。
彼女は目を少しだけ見開いた。
そして悲しそうに笑う。
「それはちょっと違う。これからは幸せになれる。また会えたらいいね。広い世界のどこかで」
それが最後だった。
その日、オークションで再び彼女の姿を見るとこはなかった。
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零斗(プロフ) - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月13日 14時) (
レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
有馬 - ものすごい面白いです！気長に更新待ってます！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: c318382072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年1月3日 11時
