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手代の苦労 ページ5

「へぇ、そんなことがあったンですか」

ソファに腰掛け、向かい合って座る私と谷崎兄妹。

この話をするに至った理由は、なんだっただろうか。

私自身は、探偵社全員に聞かせるつもりで話していたが、ほとんどが聞く耳を持たない。

「君らって変人だよねぇ…」

「いや、Aさんにだけは言われたくないです」

「ひっど」

しみじみと言えば、谷崎によって一刀両断された。

探偵社のこの空気は、いつ来ても落ち着く。

谷崎の妹、ナオミがくれた飴を舐めながら騒がしい探偵社の騒音を聞いていた。

そんな中、扉が勢いよく開いた。

「社長!!!!!!」

「おっ、創君」

怒りと焦りと疲れを含んだ物言いを、普段の友人と話すように返す。

それが、彼の逆鱗に触れてしまったらしい。

「今日は某大手企業の代表取締役と会合があるって言いましたよね!?
聞いてましたか!?昨日元気よく「はい!」って返事しましたよね!?
なんで探偵社に来てんだ糞社長が!!!!!!」

自分の仕事場の社長を糞呼ばわりは如何かと思うかもしれないが、これも日常茶飯事だ。

既に探偵社の面々は、憐れみの目という心に刺さる武器を会得している。

「そんな話もあったねぇ…でも、もう時間過ぎてるよ?」

「知ってるわそれぐらい!!!代わりに俺が行ってきたわ!!!
苦笑いで許してくれた取締役本気で神かと思ったわ!!!!!!」

「おお!流石だ創君!」

少々鬱気味な創は、私が経営する何でも屋の手代を務めてくれている。

探偵社で言えば、谷崎のような立ち位置だ。

何時も私の尻拭いをありがとう、という思いを込めて褒めれば殴られた。

解せぬ。

「ほら…依頼人が来ています。行きますよ」

首根っこを掴まれ、半ば引き摺られる形で探偵社を後にした。

最後に私の視界に映ったのは、矢張り探偵社の面々の憐れみの目だった。

拒否権のない依頼→←何でも屋の名簿



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作品ジャンル:アニメ
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名無しの遊霊 - 僭越ながら復活を果たしました、名無しの遊霊です。また自分なりに良いものが書けるよう精進していきますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年8月26日 3時) (レス) id: 4dce8b1b93 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの遊霊 - 天然石。さん» ありがとうございます!天然石。さんも受験お疲れ様でした!私のファンなんていないと思うのできっと大丈夫ですよwww (2019年3月8日 14時) (レス) id: 6423abd6f3 (このIDを非表示/違反報告)
天然石。(プロフ) - 受験お疲れ様でした。1500hitおめでとうございます。どれだけの人が見ていても私がいちばんのファンでありたい。と思いました。 更新待ってます (2019年3月5日 15時) (レス) id: a11c4ee981 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの遊霊 - 天然石。さん» そうでしたか?表現の仕方は自分でも気が付きませんでした!というかここでも遂に敬語外すようになったみたいですねwwwありがとうございます。これからもなる早で頑張らせていただきます。 (2018年9月19日 18時) (レス) id: 486de41c9b (このIDを非表示/違反報告)
天然石。(プロフ) - メールに送ろうと思ったけど気力がないのでこちらへ なんだか表現の仕方がガラッと変わった気がする…?情景描写がとても好きです舞ちゃんが可哀想で仕方がない…鏡花ちゃんが好きじゃなかったらスマホ投げ飛ばしてたね…危ない危ない (2018年9月17日 18時) (レス) id: a11c4ee981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊織するめ | 作成日時:2017年12月9日 10時

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