【episode 56】#You ページ8
敦が、出て行ってしまった。
私を置いて、いなくなってしまった。
「A?どうしたんだい」
扉の方を見て俯いていた私に気づいた与謝野先生は私の顔を覗き込んだ。
「っ、こっちおいで」
誘導されるまま、私は与謝野先生の隣の椅子に座る。
賢治くんや乱歩さんが私を見て目を見開いていた。
「ほら、これで拭きな」
与謝野先生はポケットからハンカチを出すと私に渡してくれる。
私は知らぬうちに涙を流していたらしい。
私はそのハンカチで止まらない涙をひたすら拭いた。
「……で、どうしたんだい?」
「っ、敦が、いなくなっちゃ……」
「え?」
「敦が…いなくなっちゃった……!」
私を置いて、どこかに、
きっともう、帰ってきてくれない。
私には敦がいないとダメなのに。
私はここでひとり、
ひとりで生きていかなくては…
そう思うとまたボロボロと涙が溢れた。
与謝野先生は私の背中をとんとんと叩きながら話を聞いてくれている。
「落ち着くんだ、どうしていなくなるって?」
「わかりませっ……でも、きっと敦はっ……」
「うるさいなぁ」
びくり、と肩が震えた。
しゃっくりをしながら顔を上げると、心底めんどくさそうな顔をした乱歩さんがいた。
「ら、乱歩さん……?」
「僕、君みたいなうるさい子嫌いだなぁ…
泣かないでくれない?」
ぐさり、と胸にその言葉が突き刺さる。
敦がいなくなったという事で弱くなったメンタルにこの人の言葉はナイフのように私の心を抉った。
とめどなく溢れる涙。
それを見ると乱歩さんは糸目を鋭くしてため息を吐いた。
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コトノハ - 一気読みしてしまいました!敦君の優しさと男前さが上がっていて、個人的にすごくドキドキさせられています!更新楽しみに待ってます!頑張ってくださいね! (2019年4月21日 8時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
十六夜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます。更新、遅くなってしまいすみません。なるべく早く更新できるよう頑張ります(*^^*) (2018年8月10日 21時) (レス) id: 0ec73a354d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 何度も読み返すくらい好きなお話です! (2018年8月8日 17時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 面白いお話で続きが気になります!更新頑張ってください! (2018年7月16日 16時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
十六夜(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます。更新、遅くなってしまいますがお付き合い頂けると幸いです(*^^*) (2018年6月20日 0時) (レス) id: 0ec73a354d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十六夜 | 作成日時:2018年3月11日 10時