【episode 40】#Atsushi ページ40
前を歩いていた谷崎さんは僕たちを見ると眉を下げて微笑んだ。
「二人とも、大丈夫ですよ。
僕でも続けられている位ですから」
「でも…谷崎さんも"能力者"なのでしょう?どんな力なんですか?」
谷崎さんは頭を掻きながら戦闘向きじゃない、あまり期待しないでください、と言った。
「兄様の能力素敵ですよ!
ナオミあれ大好き」
谷崎さんの腕に絡みつきながら、うふふとナオミさんは笑った。
「そういえば…
お姉さまは何か能力を持っているのですか?」
ナオミさんの言葉にぴくり、と肩を震わせたA。
僕は虎になってしまう"月下獣"の能力を持っていたけど、Aはどうなのだろう。
こういう話をAとしたことはなかったから…そもそも異能力だなんて自分とは無関係だと思っていたから考えたこともなかったんだけど。
「えっと……」
Aは困ったように口ごもると、眉毛を下げて笑った。
「私はそういうのは……」
「着きました」
Aの言葉を遮るように樋口さんが言った。
路地裏のようだけど、進むに連れてどんどん暗くなって気味が悪い。
見えてきた道は行き止まりだった。
「んー…おかしいな、本当にここなんですか?
密輸業者というのは臆病な連中です。
だから必ず逃げ道を用意します。
ここ、袋小路ですよね?」
谷崎さんは樋口さんの立っているきた道の方へ指を差す。
「捕り方がそっちから来たら逃げ場がない」
谷崎さんがそう言うと、樋口さんは不敵な笑みを浮かべた。
「その通りです。
失礼とは存じますが、嵌めさせて頂きました。
私の目的は貴方がたです」
首元までしまっていたシャツのボタンを二つほど開け、下ろしていた髪の毛を一つに束ねる。
黒いサングラスをかけると携帯を耳に当てた。
「芥川先輩。
予定通り捕らえました」
芥川…!?
「我が主人の為…
ここで死んで頂きます」
こいつ…
ポートマフィアだ…!!
両手に銃を構えたのが見えた僕は、瞬時にAを背中へと隠した。
響き渡る銃声。
目の前を真っ赤な血潮が飛んだ。
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十六夜(プロフ) - 胡蝶さん» コメントありがとうございます。励みになります。中也さんの登場が私自身も待ち遠しいです^ ^ (2018年3月10日 11時) (レス) id: e6ba942cc6 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 凄くおもしろかったです。夢主ちゃん、中也さんと気が合いそうですね。これからどんな展開になっていくのか楽しみです。 (2018年3月10日 0時) (レス) id: 7857e3d4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十六夜 | 作成日時:2018年2月27日 22時