【episode 19】#Atsushi ページ19
国木田さんと太宰さんの後を追いながら、僕は懸命に探偵社へ走っていた。
Aが爆弾魔の人質？
どうして、Aが、なんで、
無事でいてくれ、と心の中でただひたすら願った。
静かに探偵社の中へ入ると、口と手首を縄で塞がれたAが爆弾魔に人質として捕まっていた。
「名前の頭文字一文字、っっ！！」
「静かに。
今ここで大声を出しては犯人を挑発してしまうだけだ」
大声を出す寸前のところで太宰さんに口を手で塞がれる。
Aは下を向いていて表情がわからない。
けれどきっと恐怖でいっぱいだろう。
犯人の左手には爆弾の起爆装置が握られていた。
あれさえ奪うことができれば…！
「もう嫌だ…
ぜんぶお前等の所為だ…
"武装探偵社"が悪いンだ！社長を出せ！」
"でないと爆弾で皆吹っ飛んで死ンじゃうよ！"
早く、早くAを助けなくちゃ。
助けて、あげないとー
「犯人は探偵社に恨みがあって社長に会わせないと爆破するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねえ。
…あれ、高性能爆薬だ。
この部屋くらいは吹き飛んじゃうね
爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど…
どうする？」
「そんなの、僕がっ…！」
「…あれ、敦君行ってくれるの？」
「危ないのではないか…？」
「でも…確かに都合がいいかも。
探偵社に私怨を持つだけあって社員の顔と名前を覚えてる可能性がある。
君なら顔が割れていないから…」
ばちり、と目が合うと
"よろしくね" と怪しく笑みを深めた。
＊
太宰さんと国木田さんと作戦会議(?)をしたあと、それじゃあ行って来い！と太宰さんに力強く背中を押される。
「わぁ！？」
探偵社の入り口の花壇に植えられた茂みに隠れていた僕は犯人と対峙してしまう。
「なんだアンタっ！！」
犯人は突然の僕の登場にものすごい剣幕で怒鳴ってくる。
(ひいい怖い！怖い！！)
怖い、けどやらなければ。
Aはもっと怖いはずだ。
Aの命が、かかっている。
人質として捕らえられているAに視線を向けるとAは目を大きく広げて首を横に振っていた。
"来ちゃダメ"
そう言っているような気がした。
けれど僕はうるさく鳴っている心臓を抑えると、大きく息を吸った。
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十六夜(プロフ) - 胡蝶さん» コメントありがとうございます。励みになります。中也さんの登場が私自身も待ち遠しいです^ ^ (2018年3月10日 11時) (
レス) id: e6ba942cc6 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 凄くおもしろかったです。夢主ちゃん、中也さんと気が合いそうですね。これからどんな展開になっていくのか楽しみです。 (2018年3月10日 0時) (レス) id: 7857e3d4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十六夜 | 作成日時：2018年2月27日 22時
