教室へ（後編） ページ3
「それってどういう...」
マサト『確実ではないけど、多分お前 綾小路に狙われてる』
マサト『だから一刻も早く──』
マサトくんの話を聞いていた私は、途中でそのあとの言葉が何も入ってこなくなっていた。
「(そういえば綾小路くん、マサトくんとは ほとんど面識がなかったよね...？)」
「(なのに どうして私が電話に出る前に、”私と仲がいい男友達“だって分かったの...？)」
冷や汗が伝う中、いつの間にか電話は切れていた。
その瞬間 後ろから声が聞こえた。
綾小路 清隆「A、解決したかもしれない。」
そういう彼の声は、いつも通りだったが 今の私にとっては 血の気が引いていくような恐ろしい声に思えた。
「な...何が解決したの...？」
震える声でそう訊ねると、彼は私の端末を取り上げた。
綾小路 清隆「お前を呼び出した理由。」
私は後ろを振り返ることができずにいると、彼は私の肩を掴み 彼のいる方向である前を向かせた。
綾小路 清隆「Aが誰かと仲良くしていると、相手が誰であろうが 攻撃したくなる。」
綾小路 清隆「...今、オレの中にある感情をさらけ出さないと オレはどうなるか分からない」
綾小路 清隆「だから...遠慮なくAにぶつけてもいいか？」
いつも通りすぎる表情に、私は息ができないでいた。
そんなこともお構い無しに、彼は私をじっと捉え 口を開いた。
綾小路 清隆「お前が誰かといるのを見たくない。」
綾小路 清隆「他のやつらと関わらないでほしい。」
綾小路 清隆「関わるなら、オレとだけにしてくれ。」
綾小路 清隆「この気持ちが もはやなんなのか、オレには分からない。この先も分かるはずがない。」
綾小路 清隆「だけど......これが誰かを本気で守りたいってことなんだよな？」
綾小路 清隆「オレは自分の中でそう結論づけた。」
綾小路 清隆「...もう、この気持ちが覆ることはないと思う」
彼の気持ちが覆らない限り......私も助からない。
私は絶望的な状況の中、逃げることを諦めた──。
【感情を読み取れない実力者】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：CRONE | 作成日時：2024年3月11日 23時
