昇降口へ(後日談) ページ12
それから 平田くんと関わりを持たないまま、数日が過ぎた。
私は以前のように 平田くんに会いに行くこともなければ、教室から一歩も出ることなく過ごしていた。
たまに平田くんが教室に来ることもあったが、私はそのたびに 彼から目を逸らし続けていた。
「(...でも いつまで経ってもこの調子じゃ、何も解決しないよね)」
「(私が...終わらせないと)」
そう思い、放課後 平田くんと話そうと 彼にメールを送った。
平田 洋介「Aさん...」
「平田くん...急に呼び出してごめんね」
平田 洋介「ううん、大丈夫だよ。僕も...君に話したいことがあったんだ」
「そっか...」
「...あのね 平田くん──今まで避けていて、ごめんなさい」
「あのときの私は 平田くんが怖かった」
平田 洋介「......」
「友達なのに、酷いよね 私ったら」
「...そんな私が 平田くんと友達でいるのが申し訳ないんだ...」
「だから...もう、平田くんと関わらないようにするよ」
平田 洋介「!!」
「今までありがとう。...さようなら」
そう言って、平田くんに背を向けると この場をあとにした
───はずだった。
平田 洋介「...すごく残念だよ」
静かすぎる声に 私は息を呑んでから、平田くんの方を見ると 彼は暗い顔でじっとこちらを見つめていた。
平田 洋介「君とは話せば分かり合えると思っていたのに」
平田 洋介「...裏切られた気分だ」
「う、裏切ってなんか...!」
平田 洋介「本当にそうかな?...よかれと思って実行したのに、その相手から距離を取られるのって......」
平田 洋介「...僕にとっては 裏切られた気持ちでいっぱいだけど」
平田くんのその言葉は まるで私が責められているみたいだった。
「ひ...平田くん...?」
彼の名前を呼ぶと、彼は嘲笑してから
平田 洋介「いいんだ。君は何も悪くない、何も...ね」
そう言い 私に近づいた。
平田 洋介「だけど...一つだけ 聞いてもいいかな?」
真剣な表情で言う平田くんに頷き、
「...うん......」
そう彼に返事をした。
平田 洋介「Aさんは、友達として僕のことが好き?」
「え...そ それはもちろん...。」
平田 洋介「そっか。わかった」
平田 洋介「...僕も好きだよ」
平田くんは笑顔のままそう言うと、私の横を通り過ぎて 去っていった。
───少しだけ、不穏な空気を感じさせながら──。
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作者名:CRONE | 作成日時:2024年3月11日 23時