いけめんくん拾いました【神谷健太】 (ページ46)

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日常ページ46

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「ねえ健太、わたし別に大丈夫だよ？」
健「おれが行きたいからいくのー」

支度を終えたわたしは行ってきます、と玄関で健太とばいばいをするつもりだったのに何がどうなったのか。おれも行くよ？なんて当たり前のように言われて、今わたしと健太は駅までの道を並んで歩いてる。

「健太、どこまでついてくるの？」
健「会社まで送ってくー」
「会社までって…ちょっと遠いよ？」
健「いいよ。ちょっとでも長くAと一緒にいたいし」

ね？なんて優しい顔で笑いながら手を握られて、指を絡ませられたらもう断れなくて。これからこんな日常が待ってるのかと思うと嬉しくて、小さく頷いて絡められた指にきゅっと力を込めた。

「わざわざ送ってくれてありがとう、気をつけてね」
健「Aこそ気をつけてよ、変な男多いんだから！」
「なにそれ、笑じゃあ、いってきます」
健「いってらっしゃい！」

ぶんぶんと手を振る健太にわたしも小さく手を振り返す。ロビーに入ってからガラス越しに健太をチラリとみるとまだ子どもみたいに手を振り続けていて思わず笑うと同時に「ガキみてえだな」と隣から声が聞こえた。

「しょ、彰吾！」
彰「おはよ。あいつ朝からわざわざ送ってくれたん？」
「あー…うん、なんか前から心配性なんだよね」
彰「へえ、意外。てか最強のヤンキーって聞いてたからもっとチャラついたやつかと思ったのにめっちゃふわふわしてんじゃん」

そこまで言って「あ、でもキレたらヤバそうだったな」と苦笑いする彰吾に、昨日のことを改めて謝る。健太の勘違いだったとはいえかなり失礼なことをしてしまった。

「本当にごめんなさい。その、」
彰「別にいいって。…よかったじゃん。帰ってきて」
「うん…あの、いろいろごめんね。本当にありがとう」
彰「別に俺何もしてないし。あ、陸さんにも無事帰ってきたって言っとくよ」
「そうだ、陸さんにもよろしく伝えておいて」
彰「おー、任せろ」

そんな話をしているといつのまにかエレベーターが到着して、わたしと彰吾で乗り込む。エレベーターにはわたしたち二人だけで、急に沈黙が訪れて少し気まずい。彰吾と二人きりなんて今まで何度も経験してるはずなのにどうして急に気まずくなるんだろう。何か話題、と考えていると、「あのさ、」と先に口を開いたのは彰吾だった。

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