いけめんくん拾いました【神谷健太】 (ページ42)

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だめページ42

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部屋へ入るなり中をキョロキョロと見渡して「変わってない」と呟いた健太。お茶でいい？なんて、まるでお客さんに言うかのような言葉を自分で言って自分で傷ついた。

健「……A、これ」

椅子に腰をおろそうとした健太があの日からずっとテーブルの上にある合鍵を見つけたらしく、合鍵を見つめながら呟いた。

「あー…それね。あ、ていうか健太、金髪になったんだね。前はもう少し銀っぽかったのに、っ……」
健「A、」

あの日から片付けられてないだなんて健太に知られたくなくて、話を逸らしながらお茶をいれていると突然後ろから抱き締められる感覚。ふわっと香る健太の香りがわたしに出会ったあの日を思い出させて、一気に目頭が熱くなる。

「っ、健太どうしたの？」
健「………ごめん、急にいなくなって」
「……………」
健「…指輪、つけてくれてるんだね」

後ろから抱きしめられたまま、右手の薬指をそっと撫でる健太の指。耳元で聞こえる健太の声はすごく優しくて、どこか切ないような気さえした。

健「A、こっち向いて」
「っ、……やだ、」
健「…じゃあそのまま聞いて？」

泣いてる顔を見られたくなくてそう言うと、わたしを抱きしめたままゆっくりと健太が話し始めた。いなくなっていた数ヶ月間ずっと地元に帰っていたこと。与那嶺さんから聞いたままの話を、今度は健太の言葉で聞かされた。

健「俺、今まで何においても妹が一番だった。妹以上の存在なんていなかったの。だからAのこと大事だって思えば思うほどどうすればいいかわかんなかった」

だって俺には妹がいるから、そう言ってわたしの右手の薬指をそっと握った健太。出て行ったあの日、もうこれ以上一緒にいちゃいけないと思った、そう続けた健太の声は少し震えてるような気がした。

健「でもだめだった。離れてる間もAのことばっか考えちゃってた」

俺もうAいないとだめなんだよ。はっきりとした口調でそう言った健太は、わたしを抱きしめる力を強めた。

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