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Aの術式について考えつつ、この間は呪霊の等級を見誤って怪我を負わせてしまったことを思い出す。
あれは申し訳なかったけど最近は呪力の調節も上手くなってきたし1級になるのも遠い話じゃないよな、なんて思っていればタイミング悪くAが伊地知から離れてしまった。
からかってやろうと思ったのに。
ちぇ、つまんねーの、と思い顔を顰めていればAの足は僕の方に向かって駆けていた。『五条せんせー!!』と声を上げながら。
『五条先生!なにその顔』
さっきの僕の顰めっ面を見たのだろう、僕の目の前にやってきたAは笑いながらそう言う。
「いやー、伊地知にベタベタきすぎじゃない?と思って。担任としてAの身を案じてたんだよ」
『意味わかんな!変な目で見ないでよね』
少しからかえば、もーう!と頬を膨らませるA。
かと思えば手に持っていた袋をがさがさと漁りだしたので、なんだなんだと思って見守っていれば差し出されるたくさんのチョコレート達。板チョコにアポロにポッキー。
そんなたくさんのお菓子を見てしまえばAをからかってやろうと言う気持ちなんていとも簡単に忘れ、甘いもの好きの僕の目は輝き始めていた。
僕も単純だな。
『これ!昨日みんなでゲーセン行ったんだけど、恵とクレーンゲームしてたらチョコ取れすぎちゃって。先生にあげる!』
「さすが!Aは僕の自慢の教え子なだけあるね!」
『チョコだけでそんなん言ってくれるならいくらでも先生にあげちゃうよ』
まだまだ余ってるし、そう言ってケラケラと笑うAを見ていると、暖かな日差しと相まって妙に心が癒された。
呪術師の女達は基本的にみんな気が強い。
まあ、気が強くなければやっていけない世界ではあるんだけど。それにしても気が強い。
Aもそれなりに気が強いところもあるけど、それをカバーするほどの人懐っこさがあるから本当に珍しい存在だと思うよ。
こうして最強の僕の心すらも癒してくれるんだから、そう言う面でもこの世界で貴重な人材だと思う。
そう考えればさっきの伊地知への絡みもまあ良いかと思えてきた。いやベタベタしすぎは良くないけど。
基本的にピリついた高専内で癒しがあるのならそれは良い事だ、伊地知の息抜きにでもなっていればいい。
そうすれば僕の雑用も今以上にたくさんこなして貰えるしね!
たくさんのチョコを受け取った僕はAと別れ、意気揚々と伊地知の後を追いかけていた。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時