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現場へ到着した私達は早くも任務に当ろうとしていた。
伊地知さんが帳を降ろしてくれて、薄気味悪い校舎の前に並んだ私達。「とりあえず中へ入るわよ」とやる気満々の野薔薇が校舎の中へ足を踏み出そうとすると、それを阻むように恵が口を開いた。
「科学室にいる2級2体は俺とAが祓いに行く。釘崎と虎杖は3級を手当たり次第祓いに行ってくれ」
その言葉に思わず胸の鼓動が速くなる。
あれだけ避けてきた"2人きり"だけど、今回ばかりは仕方ない。
2級呪霊には2級術師である恵と私が当たるのが当然だ。
そして、恋煩い禁止、禁止。
「そうね、それが一番手っ取り早そうね。お互い祓い終えたら合流ってことで」
「おう!さっさと行こうぜ釘崎!」
やる気に満ち溢れている野薔薇と悠仁は、恵の話に納得するなり校舎の中へと駆けていく。
行動も早けりゃ足も早い2人だな、と思いながらその背中を見届けていると、恵に「俺らも行くぞ」と声を掛けられる。
そのまま私の先を歩いて行く恵に一瞬反応が遅れるも、慌てて返事をしてその後ろを着いてあるけば、恵は不思議そうな顔でこちらを振り返って来た。
「まじでなんかあんなら言えよ」
『別に何もないよ!平気平気』
「...ならいいけど。無茶はすんな」
任務中に余計な心配は掛けてはいけないと、車の中からはいつも通りのテンションを心掛けていたものの、どうやら未だに体調でも悪いのだと思われている様子。
これ以上は本当に心配掛けないようにしなきゃ。
そう思いながら先を歩く恵の後ろを追いかける。
「足元気をつけろ、ガラスの破片が散らばってる」
『ありがとう、危ないね』
三階に着けば、廊下には無数のガラスの破片が散らばっていた。割れた窓ガラスの破片だろう。
こんな破片くらいで気を遣ってくれる恵はやっぱり優しいな、なんて思いながらそのガラスの破片を飛び越えて歩いていれば、そのまま科学室へ到着する。
『2体、いるんだよね?』
「ああ、そのはずだ」
シーンとしている科学室に入った私と恵はただただ突っ立っていた。しかし一向に呪霊の姿は見当たらない。
どういう事だ?と思っていれば、恵が口を開く。
「お前はここで呪霊が現れるのを待ってろ、俺は玉犬とこの階全体を見て回ってくる」
突然の二手に分かれる宣言に、一瞬は戸惑うものの、今の私にとっては逆にやりやすいかもと、了承して二手に分かれた。
___しかしそれが失敗だった。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時