シンデレラレボリューション【伏黒恵】

#38 ページ39

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そこからはそれぞれ自分へのお土産選びが始まり、少しのあいだ恵とは別行動になる。



立ち並ぶお店を行き当たりばったりで物色しつつ、何がいいかな〜と頭を悩ませていれば、ふとあるお店の前で足が止まってしまった。

そして思わずそのままお店の中に駆け込む。



そこにはショーケースの中に入った“ガラスの靴“が飾ってあったのだ。


キラキラと輝くガラスの靴は、私をこれでもかと惹きつけた。初めて見るガラスの靴に高まる胸の鼓動が止まらない。こんなにも綺麗なんだ、と思わず口も開いてしまう。


しかしそれと同時に『やっぱりこんなの履ける訳がない、こんな綺麗な物が似合う人間になんかなれてない』と、そちら側にもしっかり思考をフル回転させていた。

もちろん履き物ではないし飾り物なんだけれど。

初めて見るガラスの靴は想像以上の輝きを放っており、そしてその輝きは私に十分に現実を見せつけて来た。

ついでにお値段もお値段だ。到底手が出せる金額ではない。


『色々現実....』


憧れのガラスの靴に飛びついてお店に入り、長々と見入っていたもののなんだか虚しい気持ちだけが残ってしまった。


とは言っても、うだうだしている時間もないしそろそろお店を出るか、とショーケースに背を向けようとした時。その左隣に陳列してあったキラキラとした物が私の目を奪う。



『アンクレット...』



そこに並んでいたのはハワイアンジュエリーのような、キラキラと輝くアンクレットだった。

普段アクセサリーはあまり付けない私。
オシャレや美容にはそこそこ気は遣っているし、野薔薇と一緒にいれば必然的にその辺の意識は高くなるものの、アクセサリーにはそれほど興味がなかった。

なのに今はなぜかそのアンクレットが無性に気になってしまった。


今日一日、恵のことを考えては「もっと綺麗になりたい」「可愛くなりたい」という気持ちが湧いていたからだろうか。

普段なら絶対に気にも留めないその“アンクレット“を手に取る。

そして隣のショーケースに飾られているガラスの靴に目をやってから、もう一度手の中のアンクレットに視線を戻した。


ガラスの靴はまだ履けそうにないから、今はこのアンクレットでいいかな。


そんな事を考える。
しかしこのアンクレットすらも、今の私からすれば少し背伸びをした気分だ。



しばらく悩んだものの、せっかくだ。自分の成長の第一歩になれば良いと期待も込めてそのアンクレットを購入した。






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