シンデレラレボリューション【伏黒恵】

#35 ページ36

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『恵ってば！ねえ』

「....」

『めぐみ！』


あれから私が何度話しかけても無言を貫く恵。
腕もしっかり私に回されたままで、顔も首元に埋まったままだ。

そんな恵に、さすがにしつこいと無理矢理振り返る。
このまま頬でもつねってやろうかと一瞬思ったが、振り向いて気づいた。



...こいつ、寝てやがる。
私にくっついたままスヤスヤと寝息を立ててやがる。



なにこれ、寝ぼけてるの？
寝ぼけて私に抱きついてきたの？

恵、あんた実は無意識であざとい系なの？え....その見た目で？その感じで？


意外なギャップにキュンとするよりかは少し面白く感じてニヤニヤしてくる。これは起きたらめちゃくちゃイジってやりたい。

とは思ったけれど、昨晩の自分を思い出したらお互い様な事に気付いてしまい断念した。完全なブーメランだ。

ああ、昨日の自分を思い返したら少しクラクラしてきた....



そんな恵をなんとか振り切って私はシャワールームへ向かった。




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1人きりになると、やはり忘れようとしても思い出してしまう昨晩の出来事。

自分も恥ずかしいことをしたけれど。元はと言えば恵が発端だ。恵が突然抱きしめたりなんかするから...


お酒が入っていたせいで全ての記憶がハッキリ残っている訳ではなかったが、ドキドキしてしまったことなどは鮮明に覚えていた。


忘れたいけど、忘れなきゃだけど...。無理そうだな。

でもだからと言ってこれを機に恵との接し方を変えるのもおかしな話だ。別に付き合った訳でもない、ここで接し方を変えてしまったら所謂「1回ヤッただけで彼女面するヤツ」と同じじゃないか。
もちろんヤッてなんかないけど。ただ寄り添って寝ただけだけど。でも理屈は一緒だ。


...それに、恵って凄いなと思う。
あの状況で、あの空間で、本当に手を出してこなかった。お酒も入って訳も分からない状況だったのに、あんなにベタベタとくっついていたのに、そういう素振りひとつ見せなかった。

なに、菩薩なの？仏なの？悟り開いているの？


別に手を出されたかった訳じゃないし、もちろんそんな事をされていれば幾らあの状況でも突き飛ばしてた。

けれどあんなにベタベタとくっつかれていたらドサクサに紛れてどうとでも出来ただろう。
それに恵だって普通の男子高校生だ。
あの状況で何もしないって本当にとんでもない理性の持ち主だと感心する。



とはいえ、そういうところも良い人だなって感じてしまってる自分がいて悔しい。



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