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自分でも気付いてなかった、潜在的な意識。
そんなことを考えていたら、突然涙が溢れて来てしまった。何故だか分からない。本当に突然溢れてしまったのだ。
...ああ、これはお酒のせいだよね。絶対そう。
そうは思ったものの一度溢れたものは止まらない。今まで嫌だ嫌だとは思ってても泣いた事など一度もなかったのに。なんでよりによって今、このタイミングで溢れちゃうの。やっぱお酒なんて飲まなきゃ良かった。
恥ずかしくなって恵に背を向けた。
急に泣き出すなんて、向こうからすれば困る他ないよね。
「おい急にどうした。俺変なこと言っちまったか、それは謝る」
『違うの、ごめん。恵は何も悪くない...っ』
この涙の理由は自分でも分かっていなかった。家が嫌だから?将来が怖いから?シンデレラにはなれないから?...分からない。全部かな。
頬を伝って止まらない涙を堪えようとしてもそれは逆効果だった。さすがにこのまま泣き続けていても恵に悪い、疲れてるのに寝れないだろうし。
そう思って私はベッドから降りると、外に出ようと部屋の入り口の方に向かった。『ごめん、少し頭冷やして来る』と言って。
しかし、そんな私に「おい待て!」と言った恵が目の前に立ちはだかる。その勢いとその目がちょっと怖くて、前に進もうとする私の足も止まってしまった。
「...泣いてる奴、1人にできねぇだろ」
『...ごめん。でもっ...』
「でもじゃねえよ。お前が何で泣いてんのか分かんねぇけど。ここには仕事で来てんだ、迷惑とか思うな。悩みがあんなら聞く、話せ」
恵のその言葉が余計私の心を掻き乱して言葉が見つからなくなった。家の悩みなんて野薔薇にすらまともに話した事がなかったから。だるいんだよね〜、とケラケラ笑って話してたくらいだ。
でも結局何を話したら良いのか分からなくて泣き続けることしか出来なかった。
ごめん恵、迷惑だよね。意味わかんないよね。
私から振った話題なのにね。
そうは思っても私の意思と反して涙は溢れるし、言葉も詰まってばかりで出てこない。
はぁ、どうしよう。この場をどう切り抜けよう。
回らない頭でそう思った時だった。
そんな私を見兼ねたのか、それとも何か別の意図があったのか。恵が私の腕を引き、その胸に私を閉じ込め抱きしめたのは。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時