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なんやかんやでホテルに戻ってきた私達はそれぞれシャワーも浴び終え、あとは寝るだけとなっていた。
朝から東京を出発し、任務を終え、海で遊び、最後にはお酒も入り、なかなかハードな1日を過ごした。そのせいか、ベッドに入ればお互いすぐに無言になった。
ベッドのサイドライトだけを点けて薄暗くなった部屋は眠気を誘うには十分な雰囲気だったが、これは修学旅行的なアレだろうか。
...眠れない。
そしてそれは恵も同じようだった。
チラッとライト越しの隣のベッドを見れば、大人しく携帯をいじってる恵の姿。
そんな恵を見ていれば突然、「そうだ、こんな機会だ。どうせなら普段あまり聞けない事でも聞いてみようか」と思い立つ。
と言うのも、正直なところ恵のことだけはあまり深く知らないのだ。
同時に高専へ入学して、悠仁と野薔薇が入学してくるまでの2ヶ月間。2人きりの時期があったというのに、当時は表面的なことばかりで深い話までしたことがなかった。
悠仁と野薔薇が入学してからは、宿儺の器というインパクト大の悠仁がいる時点で興味はそっちに持ってかれるし、野薔薇とは女子トークのノリで色んな事を話したんだけど。
思えば恵とだけは面と向かって深い話をしたことがなかった。
『ねえ、恵?』
「ん?どうかしたか」
『...恵はさ、呪術師続けたいと思う?』
そして口を開いた時には何故かそんな重っ苦しい質問をしてしまっていた。
どうして突然こんなことを聞こうと思ったのか、それは自分でもよく分からなかったけれど。
「急だな、なんかあったのか」
『いや別に。ただ恵がそういうのどう考えてるのかな〜って思って』
「そうだな。...でもわかんねえ。俺は五条先生が後見になってくれてる以上そういうの自分で決められる立場じゃねえからな」
『ちがうちがう、そういうのじゃなくて。恵の気持ちを聞いてるの』
「...まぁ、今は辞めたいとは思ってねえよ。昔はなんで俺が呪術師なんかにって思ってた時期もあったけど、今は助けたいと思うものが見えた。先のことは分かんねぇけど」
私の質問にそう返す恵に、そんなこと考えてるんだ、やっぱり恵は真面目なんだなと再認識する。
そもそもこんな突拍子のない質問に真剣に答えてくれる時点で十分真面目さが伺えるけど。
私なんて毎日毎日呪術師なんか辞めたいと思っているのにな。なんだこの違いは。
恵と自分を比べ、自分の不甲斐なさに少し落胆した。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時