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そんなこんなでグダグダ言いながら迎えを待っていると、突然私の携帯が鳴り響いたので少しびっくりする。
慌てて携帯を取り出せばディスプレイには待ちにも待った「伊地知さん」の文字。
恵も聞けるようにスピーカーモードにして勢いよく電話に出た。
『もしもし伊地知さん?!』
私も恵も「そろそろ到着します」という趣旨の電話だろうなと思っていた。
けれど、電話越しに聞こえてきたその声はどうやら酷く焦っていて想像していたものと違った。
「Aさん、伏黒くん、任務お疲れ様です。...あの、すごく申し上げにくいのですが...」
電話越しでも伝わるそのただならぬ空気に、私と恵は顔を見合わせる。
『どうかしました?』
「...あのですね。」
ここに来てなに?!とドキドキしながらも、言葉を詰まらせながら話す伊地知さんの声を聞き漏らしてはいけないと、音量のボリュームを最大にする。
「先程五条さんから今すぐに高専へ戻ってこいとの連絡が来まして...。どうやら事務関係でトラブルが起きたらしく、私しか分かる者がいないみたいで...。それで本当に申し訳ないのですが、私はひと足先にこの後すぐの飛行機で東京へ戻らせて頂くことになってしまいました...」
「『はい?!??!』」
突然の出来事に思わず携帯を落としそうになる。
隣にいる恵もこればかりは口が半開きになって固まっている。
『ま、待ってください。それじゃあ私たちは?』
「Aさんと伏黒くんはこのまま1泊してご予定通りの便で帰って頂きたいのですが...ホテルに関してもお伝えしなくてはならないことがありまして...」
申し訳なさそうに話す伊地知さんの口から伝えられた事は、紛れもなく私と恵が1番恐れていたことだった。
どうやら伊地知さんはツインルームとシングルルームを1室ずつ予約してくれていて、そのシングルの部屋を私に充てようとしてくれていたらしい。
しかし、伊地知さんの突然のキャンセルにより私のシングルの部屋をキャンセルしなくてはならなくなってしまったとのこと。
つまり現状予約できている部屋はツインルーム1室のみ。
ちょうど夏に差し掛かっている今の時期、沖縄はまさにシーズン真っ只中でキャンセル待ちのお客さんも多く、やむを得ずこういう形を取るしかなかったと伊地知さんは言う。
...いやいやいや?!
とんでもない状況に私は隣に座る恵と携帯の画面を交互に見ながらむせかけた。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時