シンデレラレボリューション【伏黒恵】

#16 ページ17

・


沖縄に到着すると、ひと息つく間もなく車へ詰め込まれた私達は現場へと向かわされた。

車の窓を少し開けると感じる沖縄の空気。そこから見える空も、海も、広大な自然も、私のテンションを上げるには十分すぎていた。

しかし隣に座る恵から「冷房効かねえから早く窓閉めろ。あちい」と文句を言われたので、沖縄空気だけはしばしバイバイと窓を閉める。

そしてテンションが上がったことにより、飛行機で起きたハプニングのこともすっかり忘れる事ができていた。



現場に到着し、車から降ろされる。
私達が任務に当たっている間、伊地知さんがホテルのチェックインを済ませておいてくれるらしいのでそのまま荷物を預けて少しの間お別れになる。


バイバーイ、と走り去って行く車に手を振りながら私達は薄気味悪いトンネルへと足を運んだ。




・





任務は想像以上にあっさりと終わってしまった。

さっさと呪霊を祓って遊びたいという気持ちが余程大きかったのか、はたまた呪霊が弱過ぎたのか。

どちらにせよほんの数分で祓い終わってしまった。これは3級にも満たない呪霊だったんじゃないかと思うほど。

まだ恵の足元にいる玉犬をわしゃわしゃと撫でる。


『呪霊にも県民性があるのね』

「急に何言ってんだよ」

『いやさ、東京の呪霊ってしぶといしなんか憎いんだけど。沖縄の呪霊ってあっさりしてたというか。しつこくなかったし』

「まあそれは少し分かる」


あまりにあっさりとした任務だったので、思わずそんな訳の分からないことを口にしてしまったが意外にも恵の共感を得れて少し嬉しかった。


___任務があっさり終わったのはこの広大な自然が広がる沖縄と、自然の力を操るAの術式の相性が良過ぎたからなのではないか、と伏黒は思っていたが口には出さなかったのでAに伝わることはなかった。





伊地知さんの到着を待つ為にトンネルの入り口へと戻る。とは言ってもまだ伊地知さんと別れて30分も経っていない。

となれば迎えがくるまで何分待つことになるんだ...と少し萎えながらも入り口に設置されてるベンチに腰掛けた。


『はーー。暇だなー！まじでここ草と木しかないじゃん。高専の周りより草と木しかないじゃん』

「当たり前だろ、ここ沖縄だぞ」


沖縄に来たと言うのにかなりの奥地に連れてこられたせいで沖縄を感じながら待つことすらできない。唯一沖縄を感じられると言えば、この鬱陶しいほどにジリジリと暑い気温だけだった。



・

#17→←#15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す