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「お前らうるさくて起きちゃったんだけど。朝からなにしてんの?」
『悠仁!おはよ!』
隣の部屋のドアが開き、目を擦りながら悠仁が顔を出してきた。
そしてその瞬間「やべえ面倒なやつが増えた」と察したであろう恵の表情を私は見逃さなかった。
私と悠仁は自分で言うのもアレだが、なんとなく似ている部分が多いと思う。というか波長が同じと言うか。
それはノリが良い野薔薇も同じで、4人でいると基本的に巻き込み事故をくらいまくるのは恵だ。
しかしそれが野薔薇抜きの3人になったらなったで、また別の面倒くささがあることも恵は知っていた。
野薔薇がいないことで悪ノリは減るものの、野薔薇がいないことで収集のつかなさは増すのだ。
「どったの?もう出発の時間?」
『いや早起きしちゃってさ。出発前に任務の打ち合わせでも〜?って思って恵のところに』
「おい、遊びにっつってただろ。嘘つくんじゃねえ!」
そのままドア前で口論を繰り返すも、結局「いいじゃん!朝からそういうの新鮮じゃね?俺も混ぜて!」と悠仁もノって来たので、拒否権が無くなった恵は諦めて部屋に私達を通した。というか私達が雪崩れ込んだが正しいのか。
そのまま「もうなんでもいいから寝かせろ。うるさくすんじゃねえぞ」とベッドに潜り込む恵だが、せっかく恵の部屋に侵入できた私達がそれを許す訳もなく。
寝るほどの時間はないでしょー!と、恵の頬をつねる私に、耳元で「ねえお土産何買って来てくれんの?」と騒ぐ悠仁。時計を見れば朝5時半。
出発は7時なので少なくともあと1時間ちょっとは余裕がある。
そんなことを考えながら騒いでいると、私はある不自然なことに気づいた。
『ねえ恵、あんた荷物は?』
「荷物?」
『沖縄に行く荷物』
そう。恵の部屋を見渡してもどこにも荷造りをしたであろう荷物が見当たらない。物が少なくて質素な部屋であるというのに、目立つであろう大荷物がどこにも無いのは沖縄脳になってる私にとっては不自然極まりなかった。
そしてそんな私の考えをも否定するように
「たかだか1泊だぞ、着替えありゃ十分だろ」
と言い出すので、この男は本当に高校生か?と疑問が浮かぶ。
『まじで言ってんの?悠仁どう思うこれ』
「ありえない。沖縄だぜ?俺ならキャリー1個でも不安」
「逆に何をそんなに持ってくんだよ」
そんな実のあるような無いような会話をしていると、気づけば出発の時間を迎える頃となっていた。
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pikaito00(プロフ) - シン宣の歌詞に釣られてみに来ました^_^ (2021年5月4日 7時) (レス) id: 158c9172ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めっちゃ最高です。一番大好きな小説になりました。更新楽しみにしています。 (2021年4月30日 3時) (レス) id: 41833ceea4 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン食べた〜〜い(プロフ) - すごく最高です!楽しく読ませてもらってます!恵くん推しには堪らないです。。。すごくきゅんきゅんしながら読んでます!これからも更新楽しみにしてます! (2021年3月30日 4時) (レス) id: fbfb7b9b9e (このIDを非表示/違反報告)
うさぎあめ(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)過去最高だなんて!本当に私には勿体ないお言葉すぎます...!でもそう言ってもらえて、私も更新するのが楽しみになります(T_T)!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 45c7681717 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - めちゃめちゃ最高です。今お気に入りにしているどの小説よりも過去最高レベルで好きです!更新が楽しみで楽しみで仕方ないです笑笑 これからも頑張ってください!応援してます! (2021年3月29日 14時) (レス) id: c3fe6adbae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさぎあめ | 作成日時:2021年3月20日 7時