【銀魂】まっすぐ兎

もう、後戻りは ページ30

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僅かに痛みの残る体を動かし、そこに立つ娘を見つめた。


「よせA」


その顔も声も辛そうに歪んでいる。


「俺を信じてくれ。母ちゃんは俺が救う、そう約束したはずだ。その方法ももうすぐ見つかる」


そんな声も無視して走り出す。


「待て！！」


攻撃を上手く躱しながら、説得しようと試みる。


「A！！お前に見てほしいもんが───」


発される声は、拳に、足に、傘に邪魔される。


再び殴り飛ばされ、地面に転がった。


それでも顔を上げ、懐に手を入れて何かが握られた拳を差し出す。



「コイツを見てくれ！！これがあれば母ちゃんは───」



その腕を開く前に、その動作をする前にもう動けなくなった。


何故なら彼の身体と繋がっていたはずの腕は彼の身体から離(ちぎ)れて、もう使い物にならなくなっていたから。



「強くなれ。家族を護るために。そう私に言ったのはアンタだ」



だったら私は



「アンタの腕を振りほどいてでも母さんを連れていく。」


振りほどかれた腕から、小さな緑色の結晶が転がり落ちた。


「家族じゃなくなっても」



家族を護る




血に飲まれ、互いに黒く染まった獣は殺し合った。


「パピー！！」


だが、その殺し合いは終結する寸前に一匹の子兎によって鎮められた。



しかし、どちらも気づいた時には後戻りすることなど出来なくなっていた。




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