【銀魂】まっすぐ兎

似てしまった ページ28

*



神楽はいない


帰ってきた神晃も。


江華と二人きりの時だった。


「母さん。」



私と一緒に来てほしいんだ。



江華の顔を見つめて言った。


江華はAの方を向く。


「船を用意してある。母さんの星に帰ろう。」


目を伏せる。


暫く黙っていた。


「A。いつからしっていたの。」


傷だらけの顔をしっかりと上げて、まっすぐに前を見て言葉を続ける。


「あの星に帰れば母さんの病気もきっとよくなるよ。枯れかけた花だって、もう一度土に戻せば･･･」


「私もあの星も、もう枯れ果ててしまった。今さら戻っても私の身体は、もう」


自分の身体を見た。


「A、母さんをここにいさせて。私は家族(あなたたち)の隣にいたいの。」


「隣になんて、いなくたっていい」


握った拳に指の爪が食い込む。


それでも、まっすぐに芯の通った透き通った声は発された。


「家族なんかじゃ、なくなったっていい」



それでも、私は



母さんに




生きていてほしい




だから････だから


「諦めないでよ。きっと私が、母さんを助けるから」




父親じゃなくなっても俺は家族を護る




そう言って、立ち去った背中


彼女の姿はその背中と同じで手を離したら、すぐにでもどこかへ行ってしまいそうで。



「なんでそんな所まで似てしまうかな。」



辛そうな顔をする。



「あなたも、やっぱりいってしまうんだね。」



そう言った途端口元に手を当てる。


指の間から血が漏れ出る。


扉が開いた。



「マミー！！」



神楽の叫び声が響いた。




*

ただ一つの道→←二匹の雄

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す