男は女の笑顔に弱い ページ40
*
部屋の案内。着替えも終わった。
それでも何故か側にいる阿伏兎と一緒にAは外を見ていた。
神兎は呑気に頭の上で寝ている。
どこまでも続く
「そういえばさ。阿伏兎、いつまで側にいるの?」
疑問のこもった目で阿伏兎を見る。
阿伏兎は頭を掻くと、自分でも何でだろうと思い始めた。
何故か、側にいたくなった。
目の前の兎二匹が手間のかかる奴等だったからか。
そう、勝手に自分の中でケリをつける。
でも、どこか納得いかなかった。
「あ。阿伏兎」
何かに気づいたように、声を上げる。
「手。貸して」
そう言いながら阿伏兎の手を取ると、見つめる。
そこには何かで切ったのか、血の出る程の傷があった。
「ああ、それか。後で治療しようと思ってんだ。」
「後じゃダメ。今やろうよ。今。」
傷が余計に開いたら大変。なんて言いながら、どこからか出てきた包帯を巻く。
一通り終わると、これでよし。なんて言いながら阿伏兎の方を向いた。
「私が気づいてよかったね。また怪我したら言えよ。」
そんな事を言って、とても綺麗な笑顔を見せた。
誰かの世話を焼くのが好きなのか。
まるで花の咲いたようなその笑顔に見惚れていた。
いつの間にか後ろを向く背中。
何故か以前にも治療してもらったこと、背負って連れ帰ったこと。
たった少しの思い出が何度も頭を駆け巡っては何かが弾ける音がする。
その気持ちの正体に気づいた阿伏兎は困ったように笑う。
「困ったなァ。おじさん、いい歳してまるで青春の頃みたいな気持ちになっちまったよ。」
もちろん、その青春も戦場だった。
その青春ではなく、漫画とかにあるような学生とかが過ごしている。あれ。
「本当に困っちまうよ。おじさん」
そう言いながらも彼女の巻いてくれた包帯を愛おしげに見つめる。
青春と同じように、この気持ちはいつか消えるはず。
そんな期待と僅かな寂しさ。
暫くは、この気持ちを楽しませてもらおう。
そんな事を思って、廊下を歩き出す。
そしてまた、困ったように笑った。
*
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宇宙 - 凄い面白いです!おススメします! (2019年11月24日 18時) (レス) id: 851b2213db (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - あお果実さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると、とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年3月6日 20時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援してます(*´∀`) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - momoさん» ありがとうございます!私も、こうして見ると何だかしみじみとしてしまいます・・・・。小さい頃から壮絶な人生送ってますよね・・・・。これからも更新がんばります! (2019年3月3日 23時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 初めまして!銀魂の成り代わり小説少ないし、神威の成り代わり見た事無かったので書いてくれて嬉しいです!!こうやってみると神威恵まれ無さすぎて推せに推せる.......。これからも更新楽しみにしてます。無理をしない程度に頑張って下さい( *˙ ˙* ) (2019年3月3日 22時) (レス) id: afb06b4870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒金 | 作成日時:2019年2月23日 22時