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「お前の怪我は一度医者に見せたほうがいい、血を流しすぎだ」
「い、しゃ…？」
「あぁ、村に降りて治療を……」
「む、ら…あ、あそこ……わ、たし、はいれ…ない…」
「あぁそうか…‥嫌われ者、だったな」
淡々と話す男に動揺を見せることもなくパチパチと燃える焚き火をじっと見つめた
「………だ、れ？」
そういえばと言わんばかりの反応に思わず冷や汗をかく大男
「…スモーカーだ」
「す、もーかー…？」
「自分の名前、言えるか？」
「……A…」
「Aか…で、お前はどうしてここにいる」
フゥーと煙を吹けばまた目に染みてうまく目が開かない
目をこすりながら足を組み直し自身を温めるように体を丸めた
「…こ、こ……ながれ、つい、た……」
「流れ着いた？」
こくりと頷きおぼつかない言葉で感情も出さず話し始めた
.
「だ、れか……たべもの…ください……だれ、か…」
一年中降る雪の中薄いマントと裸足の少女
村の人たちは少女を見るなり食べ物を投げつけ家の中へと入っていってしまう
「ねぇ、ママどうしてあの子、家に入れてあげないの？」
「あれは、関わっちゃいけないのよ…あの肩のマークが入ってる人とは関わっちゃいけないの……」
少女の方には赤いマーク
この島は世界政府管轄の島ということもあり、村人には周知だった
いくら可哀想と思えど明日は我が身
関わらないことが1番というのが村の考えだった
「あ、あり、、ありが、と……」
落ちたパンを拾い埃を払いながらかぶりついていく
Aに家はない
あるのは名前と元奴、隷の肩書きだけ
パンをかじりながら村の柵の外へ出て行き森へ入っていく
夜になると狼の遠吠えがする森を思い焼きをかき分けながら進み今日の寝床を探していく
「……っや、やぁ…！！」
追いかけられた狼に髪を掴まれ瞬く間に引っ張られていく
食べられる、
必死に近くの木の枝に手を伸ばしすかさず殴る
体勢を整えて走っても追いかけてくる飢えた狼たち
どこにも逃げ場がない
走っても走っても、行き場所なんてないのに、死ぬ恐怖だけで生きている
常に恐怖に支配されながら生きている人生
そして、何も信じられなくなった
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作者名：usagi | 作成日時：2022年12月25日 15時
