163. ページ14
.
城門から城へと続く長い道
小さな体で地面に頭をつけ涙を流す少女にその城内にいたものの注目が一気に集まった
「腕を失っても…っ！体に、穴が空いても…っ！！うまく…っ、話せなくても……っ！もう一度……っ、そばにっ、置いてください……っ！！」
いつも小さな声で話すAの声
だが城中に響き渡った声は立派な、叫び声に似た勇ましい声
ゆっくりとスモーカーが近づきAの首へタグをかけ、チャリンッと響く音に顔をあげると、目の前のスモーカーの優しい顔を見て涙が溢れた
「俺の、探してた家族であってたな」
「…っ、スモー…カー……っ！」
糸がぷつりと切れたようにスモーカーの首元へと手を回し胸元を濡らした
「うぅ…っ、スモーカー……っ！スモー…カー……っ！！」
子供をあやすように背中を叩きながらも絶対に離さまいとAの後頭部を強く掴んでいた
「…っ、まだ……っ、家族…って…！呼んでも……っ、いい…かなぁ……っ、！」
「…あぁ、好きにしろ」
Aの涙を振りとるように親指の腹でAの頬を擦り拭いても拭いても溢れる涙に鼻で笑った
「けむりん、あいつやっぱいい奴だなぁ」
「ほんっと、似た親子ねぇ…」
「ふふっ…またAさんに会えるのが楽しみね」
上から見る一味も約束通り見守りスモーカーにバレないようにと窓から遠ざかった
「ス、スモーカー大佐……あの…」
「あぁ、邪魔したな。帰るぞA」
泣き止まないAを抱えバイクに跨りゴーグルを掛け直す
いつも助手席に座るAだがスモーカーから離れようとせず襟元をギュッと握っていた
「お前絶対落ちるなよ」
「……もう、っ…絶対……離れない…っ、！」
コアラのようにスモーカーの腰に足を巻きつけ葉巻がAに向かないよう位置を変える
「……中の海賊共に伝えとけ。次会ったら本気だと」
「は、はいぃ…！！！」
煙を吹かしながら城内まで登ったバイクで一気に下まで降りる
衝撃でガタガタと音を鳴らしながらアルバーナの街を走って行った
「な、なんだったんだ……」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀 - １８９の所のスモーカーの名前で一つだけ「ストーカー」になってますよ (11月17日 13時) (
レス) id: d10101ae22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2023年1月30日 13時
