気まぐれウツボとネコザメちゃん (ページ10)

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ふあっと欠伸をしてから荷物をまとめる。
トレイン先生の魔法史は眠くなると評判で、横のフロイドは授業の半ばで寝てしまった。

フ「なにしてんのぉー？」
頬をつついていると不機嫌そうに私の人差し指をパクっと軽く噛んだ。

『気持ちよさそうに寝てたからツイね』
噛んだ私の指を外してもおーと頬を膨らませる。

『１回寮に戻ってもいいかしら？』
フ「えー？このまま食堂行かねーの？」
『アズールに渡したい物があるのよ』
フ「じゃあ俺もついてくぅ」

メインストリートを歩いて居るとハートの女王の銅像が黒く焦げていた。

『朝の騒ぎはこれね』
フ「入学初日にやるねぇ」

何人かの生徒も私たちと同様に銅像をチラチラと見ていた。
赤い首輪見つけたオレンジのくせっ毛が「え"女ぁ！？」と大きな声を上げて私の横を走り抜けた。

『ロゼのユニーク魔法よね、あの首輪』
フ「金魚ちゃんも頑張るねぇ」
『お腹すいたわ、早く行きましょう』
フ「んじゃあ寮まで競走しよーよ！」
『いいわよ』

パルクールをしながら寮まで走るフロイド
負けじと、覚えたてのパルクールをしながらフロイドを追う。
フ「あー！ホントにできてんじゃん！」
『これ楽しいわね！』
フ「でしょー！でもフラーラはダメぇ」
『何でよ？』
フ「えー？だって見えちゃってるから」
『タイツでもダメなのね』

パルクールをやめて普通に歩く。
フロイドもやめて私の少し前をゆったり歩いている。

少し薄暗いオクタヴィネルの寮は寒色ベースで統一されていて、温かみは無いものの落ち着きがある。

自分の部屋のドアを開けると、窓辺に置いたテーブルには、はぎれ布と糸が乱雑に置かれ、その上に針や鋏が置いてある。我ながら溜め息が出るくらい整理できていない。

マジカルペンを1振りして何となく布を纏める。
フロイドはベッドに座って黙っている。

フ「何作ってんの？」
『マスコットよ魔法陣付きの』
作りかけのタコのマスコットをフロイドに手渡して、多少マシになった机でおまもりを袋に詰めていく

フ「魔法陣どこにあんの？なくね？」
『後ろをよく見てみて』
フ「あ！！あったあ！すっげえ！！よくこんな狭いところ魔法陣書けるねぇ」
『刺繍で縫ったわよ…大変だったわ！でも成功するか分からないのよね……まだできても無いし』

出来上がったおまもりの数をチェックして袋に紫のリボンを巻く。ついでにスカートからパンツに着替えてフロイドにお待たせと言って一緒に食堂へ向かった。