気まぐれウツボとネコザメちゃん (ページ7)

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＿＿新入生の皆さん。この度はご入学おめでとうございます！皆さんが充実した学園生活を送れるよう
オクタヴィネル寮寮長として精一杯サポートさせて頂きますよ＿＿

＿それにしても学園長はどこに行っちゃったのかしら
＿＿職務放棄……
＿腹でも傷めたんじゃないか？

＿＿＿
＿＿
＿

フ「フラーラ！式典終わったよぉてか起きてるでしょ｣
『……うるさいわよ…』
フ「ほらぁ、起きてんじゃん！」
ジ「おやおや、稚魚の頃と変わりませんね」
ア「ぐだぐだしてないで早く行きますよ」

『フロイド』
フ「なぁに？」
『何か面白いものでも見つけた？』

ガリッとミントキャンディを奥歯で噛み砕いてギザギザの歯を見せてアハっと笑った

『ふふ、楽しくなりそうね』
瞳を細めて笑った。

フロイドの背中に担がれている私の体。
右の足首からふくらはぎまでにかけて、1本の線が走っている。

エレメンタリースクールの時に尾びれに負った怪我は傷はすぐに癒えたけれど、跡が残ってしまった。

気にはしていないけれど、双子……特にフロイドにはなるべく見せたくは無いため、黒いタイツを履いている。

フ「痛む？」

足をプラプラ動かしていると以外にも心配されてしまった。

『大丈夫よ』
フロイドの式典服に顔を擦り寄せた。
あの事故以来から私のくせになっている。

ゆったり揺れながら歩いく。
本当に今日は気分がいいのね。

欠伸をひとつ漏らし、また目を閉じた。

ジ「おや、また寝てしまったんですね」
ア「式典の最中寝ていたのに…本当によく寝るな…」
フ「今度は爆睡じゃーん…俺部屋まで運んでくるぅ」

ア「ラウンジには出てくださいね」

フ「アズール人使いあらすぎぃ」
フロイドの小言が長い廊下に消えていく。

学園の配慮で1人部屋とお風呂のついた広い部屋
それでも、1匹になるこの部屋のドアの音。
いつも起きるベットの軋みも嫌い。

フ「アハフラーラかぁいいね。俺も寝よ〜｣

きゅと丸まって身を寄せて眠る。
声は無くなっても、心音がある。
1匹じゃない。

1匹になるのが怖い。
1匹だと実感することが怖い。

事故で意識を無くしていた期間が何よりも怖かった。
暗闇を闇雲に歩いて、自分は1匹で弱い存在。

「泣かないで…」

ぎゅっと包んでくれる少し低い体温。

十分安心できた。