4匹 ページ5
兄さんがガレッジに通いはじめ、私は双子と過ごす時間が余計に増した。
兄さんと帰っていたのが、双子と帰るようになり。
帰り道で遊ぶようにもなった。
たまに兄さんに叱られるような遊びもしたけどスリルが楽しい。双子の狂気性が移ったのかもしれない。
フロイドはあの日以来、魔法をよく使うようになり程なくして、ユニーク魔法も習得してしまった。
ジェイドも少しあとにユニーク魔法を取得してしまって2人のユニーク魔法の練習に付き合わされる日も増えた。
そんな2人を見ていると何だかもどかしくもあって、最近は住処の近くの珊瑚でよくふて寝をする。
この日は私たちにとって忘れられない１日になってしまった。
本当に運がなかったの。
スクールが休校で、私たちは１日中一緒にいた。
探検やかくれんぼをして遊んで、飽きてきたフロイドの提案で魔法の練習をしていた。
私は珊瑚の上に寝そべっていると、いつの間にか寝てしまっていた。
ガラッと大きな音とフロイドの焦り声に似た叫び声と、ジェイドの震えた叫び声が聞こえた。
薄ら開けた目に写ったものはさっきまで私が寝ていた珊瑚だと思うピンクの塊と、随分小さく見えるエメラルドグリーンが2つ
私の体は言うことを聞かなかった。
背中に感じる砂の感触と、勢いを変えずに落ちてくる珊瑚の塊。
動こうとしても体が麻痺したように動けない。
珊瑚の下敷きになったら私一人ではどうにもならない。
早く動かなきゃ。
ズシャと言う音と鈍い痛み。
珊瑚は私の尾びれを踏んずけた。
声にならない声が底に響く。
兄さん、兄さん助けて。兄さん助けて助けて。お願い助けて！！！！
「フラーラ！！！！」
叫び声の様に私の名前をよぶ影。
『フロイド……？』
ああ…よかった。来てくれた。
言葉になったか分からない。もうそこまで覚えては無い。
たすけて
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作者名：涼 | 作成日時：2022年9月8日 18時
