25匹 ページ31
インディゴブルーのマーメイドドレスにアップに結った髪。
黒く細長いピンヒールはフロイドのお気に入り。
照明の光を纏って輝くドレスの装飾が波のように揺らめくVIPルーム。
アズールの座る椅子の横に立っている私を目の前の男はイヤな目でチラチラと覗く。
だから決して目を合わせたりしない。
目を合わせず、言葉もかけない。
もどかしそうな態度が段々と大きくなる。
可哀相な男
自分がどこに居るかも知らずに欲をむきだしにしていく愚かな男。
絡めたら離さないタコ。
凶悪な海のギャングの名がついたウツボ。
穏和で大人しいネコザメでもね?餌を目の前にしたら話は別なの。
ただのエサでしかないと分からない可哀相な男。
スっとゆっくり目を合わせる。
ゴクリ
生唾を飲む音がVIPルームに響いた気がした。
口端をニヤリと上げるアズール。綺麗な響く声で「契約書にサインを」と金の契約書を男に差し出す
内容も見ないで保おけたまま、サラサラとペンを走らせる男。
そして一言
「君がみたい」
ああ!!何もせずに食われてくれるエサ!!!!
甘く溶けたように目を細め甘い声で囁く。
『私を見て……忘れないで私は貴方の1部……さぁ口付けを
スっと出した私の手を取って軽く口付けを落とす男これでこの男はの1部は私のモノ!
この男の魔力なんて興味はない!けれどこの男はこの契約が有効な限り私に盲信する。
私が怪我をすれば同じ箇所が私よりも傷むけれど傷は無いから治すことも出来ない。
私が願えば従ってくれる。
あぁ……なんて愚かな。
こんなユニーク魔法にかけられて、きっと服の下のどこかに刺青が入っている筈。
精々頑張って尽くしてね。
ジェイドのエスコートでお見送りをしてVIPルームに戻ると上機嫌のアズールがニマニマと契約書を数えていた。
『お疲れ様アズール』
ハンドバックからハンカチを取りだして手を拭う。
ア「フラーラもお疲れ様でした!やはりお前がいると契約がスムーズですね!!」
『あらあらそんなに喜んでもらえて光栄ですわ』
ア「それにしても、そのユニーク魔法は何とかならないんですか?態々キスをさせるなんて……」
『1度触れると、次も次こそはと思う物なのよ』
ア「お前、そのうち刺されますよ」
『その時は後悔させてやるから大丈夫よ』
ア「ケガだけは辞めてくださいね」
真剣な表情で言われると頷くしかない。
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作者名:涼 | 作成日時:2022年9月8日 18時