3匹 ページ4
この日以来、ジェイドは朝ちゃんと起きるようになった。フロイドは少しつまらなさそうだったけど、引き摺らなくて済むから良かったらしい。
2匹のクラスは隣のクラスで、休み時間には私のクラスに遊びに来るようになった。
何が楽しいのか分からないけど、だんだん慣れてきて、何も気にせず寝れるようになった。
そんな事が繰り返されると周りが混乱するようで、怖いもの見たさで私に声をかけてくるクラスメイトも
増えた。
ゆるゆると時間は流れて、エレメンタリースクールも残すところあと2年。
とても嬉しい知らせが私たちの元へ舞い降りた。
兄さんへナイトレイブンカレッジから招待状が届いた。
つまり兄さんはかの有名な魔法士養成学校に入学できるのだ!
私は招待状が届いた日とても嬉しくて2匹に自慢した。
2匹も喜んでくれて、フロイドの発案でサプライズでプレゼントを渡す事にした。
ジェイドとフロイドがコツコツ貝殻や珊瑚を集めてくれて、それを私が加工してブレスレットを作った。
案外時間がかかり、出来上がったのは黒い馬車の迎えが来る日になってしまった。
いつも通りの時間に兄さんがスクールに迎えに来てくれた。
いつもと違うのは賑やかな2匹の人魚が居ること。
この日の帰り道はとても楽しかった。
3匹で兄さんに祝福の歌を歌いながら家に帰った。
兄さんはとても嬉しそうに目を細めて笑ってくれた。
一生に一度のお祝い。
海藻の花かんむりを双子が兄さんに乗せ、ラッピングしたブレスレットとお祝いの手紙を私が兄さんに渡す。
兄さんは私たちをまとめて抱きしめた。
黒い馬車が来るまで続いたお祝いと兄さんからのお約束の言葉。
あっという間に夜になり、兄さんは海面の近くまで上った。
私達も危なくない所までついて行くことが出来た。
兄さんは何時もしない化粧をして、右の手首にブレスレットをはめてくれた。
海から出る前に兄さんは私をハグしてから、1匹ずつ頭を撫でてくれた。
フロイドの耳元で何か伝えて綺麗な笑顔で「行ってきます!」と大きく手を振った。
私達も大きく手を振った。
兄さんは綺麗な瓶を空けてタイミングよく現れた黒い馬車に乗った。
私たちは初めて見る馬車に見惚れていた。
誰が鳴らしたか分からない喉の音が冷たい夜の海に響いた。
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作者名:涼 | 作成日時:2022年9月8日 18時