20匹 ページ26
フラーラが初めてオレたち以外を部屋に入れた。
気まぐれかと思ったけど違った。
部屋の前まで漏れてる笑い声は女の子その物だったし、陸に上がってからフラーラは毎日可愛くなってく。
海にいた時はヘラヘラだれかと話したりしてなかった。雄だらけの学園でフラーラはスカートを履いてメイクもしてた。
ガラの悪い奴に絡まれることだってあったのに、1年ずっとスカートを履き続けた。
今はスラックスだけど、ベタちゃん先輩が男女で形が違うのよって言ってた。
フラーラは雌の格好をやめなかった。だからオレは
オレたちと同じ制服を着て、ビクビクしてる小エビちゃんに、フラーラを見せたかった。
小エビちゃんもフラーラと同じ雌なのは知ってた。
でもフラーラは動きやすい方をいつも選ぶから小エビちゃんはパンツのフラーラしか知らない。
フラーラも小エビちゃんとは話したことなさそうだったし、だから今日スカートを履いてくるフラーラを見せたかった。
フラーラに頼まれて部屋に小エビちゃんを迎えに行ったら小エビちゃんはさっぱりした顔をしてた。
もう背中も丸まってないし、顔も俯いてない。
胸を張って、女の子らしい表情で笑っている。
女の子ってすげぇって思った。
ずっとずっと変わってく。変われば変わるほど可愛くなって、強くなってく。
監「先輩はフラーラ先輩とお付き合いしてるんですか？親しげに見えたので」
フ「……ないしょぉ」
あー、今顔赤いんだろうなぁ……はっず……
そっかぁ……オレフラーラのことすんげぇ好きだったんだ……おもしれぇーとかじゃなくて
女の子のフラーラが好きなんだ……
他の奴らと話してるの見てギュッて苦しくなるのも金魚ちゃんの所に行こうとした時の辛かったのも
フラーラが好きだからなんだ……
うっわ……オレ明日からどうすればいいんだろ
監「……頑張ってくださいねフロイド先輩！」
フ「は！？うるせー」
監「今の先輩に言われても全然怖くありませんよ！」
あーもう
小エビのくせに……
フ「言われなくても分かってるっつーの……」
気づいたなら離さない
離れない
魔女に自慢の声を売ってまで恋を叶えた人魚の話
バカバカしいと思っていた。
自分の武器を捨ててまで叶えたいのかって
でも少しだけ分かるかも。
まあ、オレは魔女に頼んだりしないけど
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作者名：涼 | 作成日時：2022年9月8日 18時
