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2匹 ページ3

兄「あの二人はお友達?」
『違うわ、寝てたら居たの』

そっかと笑ってまた私の髪を撫でた。
目を細めると無意識に喉がなった。
稚魚特有の高い鳴き声は2匹しかいない住処に消えた。

兄さんにピタリとくっついて眠る。
兄さんは優しく私の髪を撫ぜて、穏やかに子守唄を歌ってくれる。

ママとパパから教えてもらった子守唄らしい。
兄さんもこの歌を聞いて眠っていた。

ポロポロと出てきた涙は泡となって消えた。

パパとママは私が稚魚の頃に人間にもっともっと深いところに沈んでしまった。

私と一緒に孵るはずだった兄弟たちも居なかった。
居たのは涙を流してたくさんの血をつけた兄さんだけだった。

兄さんさえ居れば私は幸せ。

だから友達なんていらないのよ。
兄さんの子守唄が終わった頃、私は眠りについた。



いつもより少し早く目が覚めた。
兄さんと朝の支度をして、行ってらっしゃいのハグを交わして私もスクールに行く。

ふと気になった少し狭いところ、いつもは行かないその道をすぃーと行く。
小さな蛸壺を見つけた。少し薄暗く外敵のサメたちが来れなさそうな安全な場所。

ここを住処に選んだ人魚はきっと頭がいいのね。
とすいすい泳いでいると、蛸壺の中からぽっちゃりしたシルバーの髪のタコの人魚が出てきた。

『起こしてしまってごめんなさい。とても素敵な住処ね』

タコの人魚は何も言わず蛸壺に戻ってしまった。

『あなたの住処にお邪魔してごめんなさい。それじゃあ私は行くわね』

来た道をもどりスクールへ向かう。

「ちびちゃーん!」
後ろから元気な大きな声。
少し大きくため息をついて『おはよう』とジト目で返す。

フ「おはよぉーちびちゃん」

『それより、何引き摺ってるのよ…』

フ「ジェイドぉ」

『…離してあげなさいよ』

フ「だってジェイド起きねぇんだもん」

『伸びてんでしょ…』
またため息をついて2匹より先を行くと、フロイドもジェイドを引き摺ったままこっちに来た。

フ「ジェイドぉいい加減おきろよぉ」
ねぇ起きてぇ?と言いながら掴んでいたジェイドの腕を引っ張る。
それでも唸るだけだった。

自慢の尾びれでジェイドを叩くと、驚いように飛び起きたジェイド。

『おはよう、私の尾鰭いいでしょ?』と笑ってやった。

フ「すっげぇ音ぉ!!すげぇねちびちゃん!!」
キュイキュイ喉を鳴らしてキラキラした笑顔振りまくフロイドに釣られて、私もそうでしょと自慢げに笑った。
ジェイドはまだ何が起きたのか分からない様子だった

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作者名: | 作成日時:2022年9月8日 18時

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