気まぐれウツボとネコザメちゃん (ページ20)

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サムさんのお店で薔薇の紅茶を買ってその足で保健室に向かう。

ラッピングしようかしら……
たくさんお見舞いの品を貰っているだろうし……
このままの方が気を使わせないかしら。

品のいい香水の匂いと控えめな足音……

『ヴィル先輩！ご機嫌よう』
ヴィ「あらフラーラ久しぶりじゃない」
『お久しぶりです！』

ハーフアップに結った髪をヴィル先輩は映画のワンシーンのような流れるように一掬いとって

ヴィ「きちんと手入れされているわ今からでもうちの寮に来なさいよ」

『ありがとうございます！ヴィル先輩に教えて貰ったおかげです！フロイドも一緒に転寮していいのでしたら是非』

ヴィ「冗談よそれよりリドルの所に行くんでしょ？引き止めて悪かったわ」

『いいえ！ヴィル先輩とのお話は久しぶりだったので嬉しかったです。それでは失礼しますね』

ヴィ「嬉しいこと言ってくれるじゃないいつでも寮に遊びに来なさい歓迎するわ保健室まで送って行ってあげたいけど、ちょっと用事があってね…気をつけて行ってきなさいね」

『ありがとうございます！！お邪魔するときはルーク先輩にお伝えしますね！！それでは行ってきます！』

ええ、またねと綺麗に微笑んでヴィル先輩は去っていった。
他者にも自分にも厳しい人から褒められるのは堪らなく嬉しい。

気分よく歩いていればいつの間にか保健室。
4回ノックをしてから静かに扉を開いて奥に進む。
一つだけ閉じているカーテンの前に立つ

『お久しぶりロゼ入っても大丈夫かしら？』
リ「やぁフラーラ入っておくれ」

カーテンを開けて入ればベッドの傍には案の定沢山のお見舞いのお菓子やお花。

『これ、ロゼが好きそうだったから良かったら飲んで？』

リ「ありがとう、いい香りだね』

『気に入って貰えたみたいで嬉しいわ』

リ「その……すまない……とても心配をかけさせしまって……ケイトから聞いたんだ」

俯いて手渡した紅茶の袋を抱える手は少し震えていた

『心配したわ！だからまた何でもない日のお茶会に呼んでもらえないかしら？』

チラッとロゼを見れば一瞬目を大きくしてから笑い出した。

リ「それが紅茶の対価かい？」

『ええ、そうよ！』

リ「フフ、君ならいつでも大歓迎だよ」

『あら、ほんと？』
リ「嗚呼、もちろん。それにしても、何時になったら君は僕の名前を呼んでくれるんだい？」

『また、リトルと呼んでもいいの？』

リ「はぁ……そのままでいいよ全く……」

『ふふ、ありがとうロゼ』