気まぐれウツボとネコザメちゃん (ページ16)

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ネコザメとハロウィンページ16

坊やたちのスタンプラリーのシートも全て埋まり沢山のお菓子を抱えながらラウンジのVIPルームで穏やかに寝息をたてているこの子達。

ブラウンの柔らかい髪の毛を撫でれば緩む口元が愛らしい。

フ「ねぇ、フラーラ」

フロイドが長い足を曲げて縮こまりながら私の髪をクルクルと長い指にまいて遊んでいる。

『なぁに？』

別の坊やの髪を撫でながら顔だけフロイドに向ける

フ「稚魚ちゃんたち返してあげるんでしょ？」
『ええ、このままゴーストにするなんて可哀想だわ』
フ「いいの？」
『少し寂しくなるわね』
フ「兄妹だもんねフラーラが稚魚ちゃんたち連れてきた時すぐ分かったよ」

俺会ってるんだもん

『え？』

フ「ハロウィンに幽霊船に行って帰って来れなかった日にこの子達とも会ったんだよそん時はフラーラの兄妹とか思わなかったけど」

並んでみたらそっくりなんだもん

『ふふ、今年はフロイドも仮装できたし、スタンプラリーもこの子たちとできた。オマケにこんな綺麗なドレスまで頂いちゃったし良いハロウィンだったわ』

フ「オレも楽しかったよォでもやっぱ4人揃ってないの変な感じだった」

『寂しかった？』

フロイドの頭に手を乗せてエメラルドグリーンの髪を撫でる。

『来年は一緒の仮装をして、一緒にラウンジでパーティーをしましょう』

フ「うん、ぜったい」
『ええ、絶対。私はそろそろお見送りに行かなくちゃ』

普段感じない暖かい魔力が徐々に大きくなるにつれ綺麗な人魚の夫婦が浮かび上がる

酷く優しく微睡みのような魔力。

自然に流れでた涙は私の頬を伝いコロンとガラス玉のように床に次々と落ちていく。

夫婦は坊やたちを抱え微笑み、私の頭を撫ぜた。
まるで両親が幼い子をあやす様に。

優しい魔力は徐々に薄くなり、夫婦の形も坊やたちもただの霧のように漂い。
次第にその霧も晴れ何事も無かったように綺麗に消え去った。

残ったのはただ音もなく流れ続けている涙と坊やたちが先程までくるまっていたブランケットだけだった。