名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ9)

今日:14 hit、昨日:6 hit、合計:27,571 hit

．ページ9

Aは結局、俺の能力を見た後も何も聞いてこなかった。

能力を見た直後は何か考え込んでいる様子を見せていたが、その場で明確な答えを出すことも追求することもせず、ただローの動きも見逃さないようにしっかりと目で追っている。

ややあって、ローの方から『展開した空間の中にある物と物を入れ替える事が出来る』と説明すると、Aはさして興味がなさそうにへぇ、と呟いたあとで、『金庫の中身を入れ替えるくらい訳ないですね』と呟いた。

「で、人前であまり使う気は無いと。」

「あぁ、悪いがこの能力はまだ試験中でな」

俺の食べた実の名前は言わなかった。
物分りの良いAは、俺が話した能力がほんの1部だという事も、試験中という言葉も嘘だと気づいているだろうが、矢張り特に詮索を入れてくる様子も無く、
「じゃあ能力は基本戦う時も使えないという事で理解しておきます」とだけ返してきた。

呆気ない、まである返事。

まだ人前で実の能力を使う気になれないのは、俺の“思慮深さ”だろうか。それともーーー。

否、慎重になるのは悪いことじゃない。“本当の自由”を手に入れる為だ。今はまだこの能力を世間に知られる訳にはいかない。

そうして地下の探索をしばらく進むと、
Aの足取りが途中でぴたりと止まった。

どうも、目的があると思われる場所にたどり着いたらしい。