． ページ43
「っ！…てめ、…A…」
「ん…っんく、」
かと思えば、傷口に舌をねじ込むように押し付け、強く吸い付く。ぴりっとした痛みが走ったかと思えば、柔らかいAの唇で傷口を優しくなぞられた。
…舐められているのは手首なのに、何故か、そこからぞくぞくと＿＿まるでAが俺の中に侵入してきているみたいな感覚に陥る。
確実に俺は快感を感じていた。
何分、そうしていたのだろうか。
ほんの数分の事だったのか、それとももっと長い時間そうしていたのか。分からない。けれど、
そうして暫く傷口から流れる血液を舐めていたAは、最後にもう一度俺の手首を舌先でなぞり、唇を離した。
「…っは、……ろー、さんの、血…だめ、なんか頭おかしくなる、すごい……あまくて、」
肩で息をしながら、Aは俺の顔を見上げる。
あまりに妖艶なその表情は、まだあどけない少女がしていい表情とは思えない。
「だめかも、……これ、始めて、どうしようっ、」
「…おい、…A？？」
血は十分だと思ったのに、Aはまだぽろぽろと涙を流している。
「ろーさん、の血、もっと……ほし…」
強請るような言葉を続けていたAが、突然身体から力を抜いた。かくん、と頭が項垂れる。
「……は？A…？おい、A」
壁に押さえつけていた手を離してやると、Aはそのまま力なく倒れそうになるから、抱き留める。
「どうした、血を飲んだら回復するんじゃないのか？」
「ん、わかんない、……でもなんか、からだ重い…」
元々Aはかなり体力も消耗していたし、飢餓状態が収まってその反動が来たのだろうか。それとも血をとったことへの反応なのか…。
よく分からないままに、Aを抱き上げ、ベッドへと移動させることにした。
ぐったりとうなだれているAは、熱があるようだった。
どうやら顔が赤くなっていたのはそれが原因でもあったらしい。
もう一度怪我の患部を確認したが腫れや膿もなく、それどころか血を飲んだ影響だろう、もう既に治り始めていたので感染症の心配は無さそうだ。
大きなケガをした後、こうして発熱を伴うことは良くある。Aの場合は疲労も相まって熱が出てしまったのだろう。
まだ幼い。体力もそれ程多くは無いはずだ。
流石に無茶をさせすぎたな、と多少反省して、Aに解熱剤を飲ませた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
