名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ22)

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Ⅹ 拒絶の円舞曲ページ22

拒絶の円舞曲
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こどくのワルツ

Aが倉庫に戻ると、そこにはもう既に倒れたアシュロフと、その傍らに佇むローがいた。

「さすがですね」

そう声をかけると、ローはこちらへちらりと視線を向けて、まるで普通に、何事も起きていなかったという調子でこちらへ歩んできた。

「そっちは」

「片付きました、あっちの部屋で気絶してます」

「そうか、こっちも今片付いたところだ」

「…能力使わずに倒したんですか？」

「ああ、見られると不都合だからな」

正直、驚いた。
ローの強さは確かに身のこなしから感じていたけれど、まさかこれ程の賞金首を相手にこんな短時間で勝ってしまうなんて。

……海賊だ、と言っていたけれど、Aの記憶にローのような賞金首は居なかった。
北の海(ノースブルー)の賞金首なら大体把握している。これ程の腕で指名手配されていないなら、本当に旗揚げしたばかりなのだろうか。

一体どこで、どんな訓練を受けたらこうなるんだろう、と多少狼狽えた。敵じゃなくて良かった。

「……ローさん」

普通に、あくまで普通に言おうと思ったのに、思っていたよりずっと、弱々しい小さな声が出てしまった。誰かの名前を呼ぶということ自体が随分久しぶりだった。
余計に、続けようとしていた台詞に言いにくさが募る。