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どこをどう話せばいかな、と思考する。
これまでずっと1人で行動してきたAは、自分の状況や目的を説明をするのが初めてだった。
掻い摘んで説明するには、どうにも考えを纏める時間が足りない。
「理由があって、ある組織を追っているんです」
ぴくりと揺れたローさんの視線が、鋭く細められたのを感じた。
「……昔、売られてしまった、人を探していて、その行方を追っています。」
首輪を1度でも付けられた人間の足取りを追う、というのがどれ程馬鹿馬鹿しい行為かも解っているけど、ローはなにも言ってこなかった。
もう、長らく同じ目的の為に旅をしている。商船を乗り継ぎ、旅客船に乗り、時に危ない橋も渡りながら。
そして、ようやく、私はある情報を掴んだのだ。
「今この国を収めている王族の1人が、とある裏組織を介して“非道なビジネス”を行っているという情報を手に入れました。……そこに、私が追っている組織が介入していると。」
これは“アタリ”だと、私は踏んだ。
「そして今、私はこの国で行われているその“ビジネス”の実態を、今は調べています。」
昨日追っていた海賊は、その狙いの人物がいる場所を吐かせる為に追っていた獲物だった。
「私がこの国に滞在している目的は、
王族と通じている人間の確保、可能なら組織の詳しい情報を吐かせること。
……そしてあわよくば、この国で行われている非道なビジネスの計画をダメにすることです。」
ローの瞳がぎらりと光るのを、Aは見逃さなかった。何に興味を抱いたのかは分からない、が、それはまるで狼が獲物を見つけた時の様だと、無意識にそう思った。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月10日 10時
