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にこりと笑う。初めて見た少女の笑う顔は、話している時よりも随分幼く見えた。
否、こうして笑っている姿が年相応で、先程までは凛として話していたお陰で大人っぽく見えていたのかも知れない。
「……私はA。全部貴方の言う通り、目的があって旅をしています。仲間はいません。
医術については……技術は持ってないけど、でも知識はまぁそこそこ程度、ですかね」
ごく自然な笑顔のまま、Aと名乗った少女は続ける
「差し支えなければでいいのですが、私も気になってることがありまして。聞いてもいいですか？」
「あァ、言ってみろ」
どうせ名前を聞いてくるのだろう、そう思った。
だがその安易な予想は裏切られることになる。
「その洞察力は探偵さんみたいだけれど、貴方もきっと医術の心得があるでしょう。それに、私よりもずっと詳しい技術も道具も持ってる。……お医者様でしょうか。
でも1人で旅をしてる……賞金稼ぎでしょうか。
この国に来てからはまだ日が浅いみたい。そして、多分、」
すらすらと流れてくる言葉は、予想していないものだった。
「あなたも能力者。」
「っ！！！」
真逆、そこまで当てられるとは。
正直、かなり驚いた。少女が笑ったことによりほんの少しだけローの気が緩んでいた事もあるのだろう。
まだお互い緊張と警戒は強く残している、そんな中、動揺を顔に出し息を飲んでしまう程度には、予想していなかったの少女の言葉に驚いてしまっていた。
「あと気になるのは、貴方の名前くらいですかね？」
にこり、と笑う少女を前にして、
柄でもなくゾクゾクしてしまった。
あァ、こいつは本当に、
面白い拾い物をしちまったかもしれねぇ。
「……っふ、面白ぇ。いいぞ、教えてやる。
俺の名前は ロー。 トラファルガー･ローだ。」
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月10日 10時
