名を付けるならなんと呼ぶ【ONEPIECE】 (ページ4)

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寒くは、なかった。

それどころか、柔らかいものに包まれた身体は暖かい。なんだろう、この柔らかい、は知らない。

音も聞こえてるし触覚もあるのに、どうにも体が動いてくれなくて、瞼があかない。自分にかかる重力だけが重くなってしまったみたいな、そんな感覚。……これが、微睡みというやつか。

ゆっくりとゆっくりと覚醒していく意識の中で、次第に五感が戻っていくような、研ぎ澄まされていくような感じ。
随分と眠ったのかもしれない、こうしてのろりと微睡みに揺蕩いながら目覚めるのは、久しぶりだった。

ゆっくりとAは目を開けた。

視界に入ったのは、どこにでもあるような天井。

ここは、どこだろう。
ぼんやりする頭で、今自分が置かれている状況を整理する。
たしか。いつも通り海賊を追っていた時に子供が現れてーー。

そうだ、私、撃たれたんだった。

はた、と思い出してすぐに身体を起こし、打たれたはずの腹部を確認する。けど、傷は綺麗に無くなっていた。その上、服も着替えられている。今着ているのはかなり大きい黒のワイシャツだった。