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さてこりゃそろそろ船長がAを怒鳴りつけ切り刻んで今日はお開きかな、なんて思った所で、Aがぱっと明るい声を出した。
「だからね、私すぐにいったの、『絶対無理！』って」
「え、良い人だったのにそんなすぐに断ったの？」
「うん！そりゃ、乗せてもらってる身分だし、適当にはぐらかしてひょいと降りた方が穏便だったかもしれないけど…。
良い人達にちょっとでも思わせぶりな態度とか期待させる素振り見せたら申し訳ないでしょ？上げて落とすみたいになっちゃう」
「あ、そっか」
「へー、ちょっとでも一緒に旅したいなとかおもわなかったのか？」
「思わないよ！だって私には皆がいるじゃん」
脈絡が少しおかしかったからだろうか、疑問を抱いたベポが問いかけて、にこにことAが答える。次いでシャチがAにぶつけた質問に、「それはまずいんじゃないか」と一瞬冷や汗をかいたが、Aから放たれた言葉は心配等する必要も無いもの。随分と気持ちのいい、はっきりとした物言いだった。
隣に渦巻いていたどす黒いオーラが一瞬にして消え去るのを感じる。おっと、風向きが変わってきた。
こりゃ不意打ちで船長にクリティカル。1HITだ。
「私には一生着いていくって決めた人が居るから仲間には慣れないの、って素直に謝ったよ！」
嘘はつけないもんね、なんてAは笑う。
そう、彼女は本当に嘘をつかない。それは実際に俺らがいちばん知っている。あぁこれは、また船長にいい攻撃。10HIT。
「『そんな良い仲間がいるなら仕方ない、誘えない』って言われてね、私海賊してるとも仲間が居るとも何とも言わなかったのに！
なんでかなぁ、ってちょっと思ったんだけど、そしたらね、後で他の船員さんが教えてくれたんだぁ」
ふにゃりと笑うAは、至極嬉しそうにより目を細める。ぷくりと膨らむ頬が酒のせいか赤く染っていて、余計になんだか幼さを感じさせて可愛らしい。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月9日 0時
