放浪少女は今日も自由に海をいく【ONEPIECE】 (ページ35)

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Aは1人で旅をするといっても、基本商船や貿易船、一般客を乗せた旅客船、そんな風に色んな手段を使って海を渡っているらしい。時には一般人に混ざって海軍船等に乗ることもあるそうな。

とんでもねぇなと身震いするが、Aは実は賞金首では無い。目がいいらしく身のこなしは見事なもので、俺とシャチが2人がかりでもAに技を当てられたことは無いのだが、なにぶん筋力も弱い上に、あまり戦いを好まないと言い、戦闘には参加しないのだ。

「それもすっごい美味しかったの！ほんっとびっくり！みんな知ってた？萎れちゃったお野菜を50度くらいのお湯に入れただけで。野菜が超ぱりぱりになるんだって！」

なんて事ない旅の一端の話、と思って俺らもそれからそれから？と話を促す。Aは話が上手い。

「………で、結構意気投合してさ、仲間にならないかって言われて！」

そうAが言った瞬間、

ぱりん

と、グラスが割れる音がした。
快活ともいえる清涼で透明感のある音、床に落として割ったんじゃあこんな音にはならない筈だ。ほら、落下の勢いが加わって床に叩きつけられる音と破片が飛散する音が出るからな。
こういう細い音は……なんかこう、例えば上手いこと握り潰したりしないと鳴らないよう…な………

「っひ、きゃぷて………」

隣にいるキャプテンをちらりと見て、一気に酔って温まっていた体がひやりと寒くなった。背筋が凍るとはこのことだ。