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「英ちゃん」
食堂へ着くと宗と中川がAを呼ぶ。いつの間にか宮城は山��に回収されていた。
「なんすか」
「あの2人、マジで沈んでるから声かけてきたって」
中川が指差す方を見れば、落ち込んでいるそぶりを隠そうともしない2人が目に入った。また雰囲気が悪くなったらどうしよう、と体が一瞬拒否反応を起こす。
それをなんとか振り切って、Aは2人の方へ向かった。
「そーいち、由伸」
「A」
2人は同時に顔を上げる。その表情は悲壮感が漂っていた。
「どうしたん」
Aがそう聞けば、颯一郎はぎゅうっとAに抱きつく。
「な、に？」
「さっき、嫌なことしてごめん」
「……」
いつの間にか由伸にも後ろから抱きつかれて、Aは2人に挟まれる形になった。
訳も分からず困惑していると、宗が
「あの後サチさんに死ぬほど怒られてたから許してやって」
と申し訳なさそうに言ってくる。Aはそういうことかと納得すると、2人の頭をポンポンと撫でた。
「別に気にしてへんし、もうええよ」
「嫌われたかと思った」
「嫌わんよ、別に」
Aがそう言えば、2人はまたAに抱きついてくる。Aはそんな2人を宥めながら席に着くように促した。
「はよ食べな冷めるで。しかも俺もらってへんし」
「俺のあげよっか？」
「いらん」
Aはそう言って席に着くと、いただきますと手を合わせる。すると2人も渋々と言った感じで席に座った。
「ほら英ちゃん、あーんして？」
「嫌」
Aはそう言って差し出されたピーマンを拒否する。すると由伸は渋々といった様子で、それを口に運んだ。
「英ちゃん、パスタもあげる」
「いやあるし」
そう言ってAはパスタを口に含む。どうやら今日はトマトパスタらしい。
「うまい？」
「めっちゃ美味しいで」
「よかった」
そう言って微笑む由伸に、Aも微笑んだ。
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作者名：usa426 | 作成日時：2023年11月1日 23時
