君との合言葉は (ページ41)

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Aが中川たちの説教を終えてサロンに戻ると、宗がおいで、と言うふうに手招きをしていた。

「？」

「A、だいぶ怒られてたから大丈夫かなーって」

「めちゃくちゃ怒ってたし怖かったっす」

「ね、怖いね」

　宗がスッとフルーツをAの方に寄せると、Aは嬉しそうに笑ってフルーツを食べ始めた。

「これ、Aのために監督が差し入れしてくれてるんだって」

「ふぁ！？」

「あとでお礼言っときなよ」

「はいっす！」

　元気よく返事をすると、またフルーツを頬張る。そんなAを見て宗も微笑むが、すぐに真剣な表情になった。

「……でもさ、ちょっと無防備すぎると思うかな」

「ふぁひ？」

「まあ、Aが100%悪いわけじゃないけど、もうちょっと危機感持とうね」

「ふぁい……」

　宗にまで言われるとはよっぽどのことだったのだろう。Aは反省してしょんぼりと肩を落とすが、宗は少し笑った。

「ま、俺らがちゃんと見てればいいんだけどね」

「へ？」

「なんでもないよ」

　宗は笑うと、立ち上がった。そして練習に行こうとしてドアの方を見ると、ちょうど由伸が入ってきたところだった。