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「さっきぶりやな、A」
「せやな」
Aは由伸から離れて颯一郎の隣に並ぶ。そして広報がカメラを構えた。
「はい、チーズ！」
シャッターを切ると、広報はカメラを下ろした。そして3人に手を振って去っていく。
「なんで俺は毎回そーいちか由伸としか写真撮らへんのやろな」
「まあ、Aはそーいちと仲ええからやろな」
「なんかさ、インスタで俺とそーいちの写真載っけて『#やまかわカップル』とか付けられてんねんけど、あれなに？」
Aがそう言うと、由伸が答えた。
「あれはそーいちが勝手に作ったんやで」
「は？！ちょっと！？」
「A、ちょっと」
Aが颯一郎に問い詰めようとした時、ちょうど監督がAを呼んだ。
「はい」
Aは返事をすると、監督の方へ走っていった。
「……A、めちゃくちゃ怖い顔しとった」
颯一郎はAがいなくなった後もずっとその場に座っていた。宇田川と小木田もそんな颯一郎に声をかけることはせず、ただ見ていた。
「……Aが」
「？」
「俺以外と仲良さげにしてるのは嫌やな」
颯一郎はそう言いながら立ち上がった。その顔は少し泣きそうに見える。それを見て宇田川と小木田は颯一郎の肩をポンと叩く。
「まあ、いつでも話は聞くから」
「ご飯は小木田持ちだってさ」
「宇田川が奢るって」
そう言って2人は去っていった。颯一郎は1人取り残されてまた座り込んでしまった。そしてそんな颯一郎の元に近づいてくる人影がある。それは由伸だった。
「Aのこと取られたみたいで寂しいんやろ」
由伸はそう言って笑った。どうやら全部お見通しらしい。
「そ、そんなんちゃうわ！」
「嘘つくなって」
由伸は颯一郎の隣に座った。そしてしばらく黙り込んだ後、口を開く。
「A、別にそーいちのことが嫌いなわけちゃうよ」
「ただツンデレなだけやろ」
「よくわかっとるやん」
「……でもさあ……」
「Aはみんなのアイドルやからな、大事にしたいんやろ」
「……」
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作者名：usa426 | 作成日時：2023年11月1日 23時
