君との合言葉は (ページ31)

今日:26 hit、昨日:42 hit、合計:39,335 hit

第11話ページ31

翌日、練習前に石川と話していたAの元に広報がやってきた。どうやら恒例の練習ライブの撮影に来たらしい。

「今日は、英ちゃんカメラでお送りしたいと思いまーす」

「はい？」

「英ちゃん、これで投手陣の練習の様子とかを撮って欲しいんだけど」

「あ、はい。わかりました」

　Aはそう言うと、石川と別れて投手たちの方に向かった。するとそこには既に颯一郎がアップを済ませて待っている。

「最初は山崎颯一郎選手でーす。今は何してるんですか」

「Aを待ってました」

「待たなくて良いです」

「ひどいと思います」

「ひどくないです」

「冷たいと思います」

「普通です」

　そんな会話をしていると、配信のコメント欄には『身長差カップルキター』だの『ツンデレ英ちゃんと甘々そーいちが本当に推せる』だの『夫婦漫才』だの、様々なコメントが寄せられていた。

「あ、時間やばい。そろそろ英ちゃんカメラは終わりです。ご視聴ありがとうございましたー！」

　とAが言うと颯一郎はツボにハマったように笑い出す。

「もっと、他の人撮れたのに、俺だけって、A、ほんまに俺のこと好きやな！」

「うぜえ」

　Aが眉間に皺を寄せても颯一郎は笑っていた。そしてカメラに向かって手を振ると練習に戻っていく。

「ありがとございました」

　Aはカメラを広報に返すと、投手たちが練習しているところへと戻った。